私立中学の入試会場前で塾関係者の激励を受けて会場に向かう受験生。伝統的な学びを提供する女子校は高い人気を誇る
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 少子化に加え、受験年齢の低年齢化で過熱する中学受験。全国的に女子校が減少傾向にある中でも、女子校を選ぶ生徒は一定数確実にいるという。親も生徒も魅力を感じる女子校とは。AERA 2025年3月31日号より。

【図表を見る】前年より私立中学校志願者が大幅に増えた県は・・・

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中学受験が過熱する首都圏。参入する家庭は増加傾向にあるが、少子化の時代でもあり、学校間で生徒の奪い合いが起きているのが現状だ。

「偏差値45から49あたりの学校の志願者が増えている。そこまで難関ではなく、1年ちょっとの勉強で入れそうな学校が最近は人気です」と話すのは、森上教育研究所の森上展安代表。そんな中学受験市場において、女子校とはどんな存在なのか。

「このゾーンには実践女子学園、十文字、東京女学館などが入っているが伝統校が多く、元々ネームバリューがあり、今の時代に合った教育をしているという印象を受ける女子校は人気があります。一方、難関女子校は軒並み志願者数を減らしています」(森上代表)

 今年の入試では神奈川県で前年より志願者が減少。中でも、女子校の志願者が減ったが、中学受験情報誌の関係者は、「今年は別学で志願者減のところが目立ったが、過去3、4年は別学が人気だったので、今年の低迷はその反動という面もある」と話す。つまり、女子校が全国的に減少傾向にある中でも、女子校を選ぶ子は一定数確実にいるのだ。

 なぜ、女子校を選ぶのか。

「芸術、情操、教養の三つの教育をずっとやってきた伝統校が女子校には多い。これが今求められている教育にマッチしているのだと思います。例えば美術や音楽は、作品を仕上げるための努力もするが、それを人に見せていったり、パフォーマンスをすることで評価を得ます。今の教育のトレンドとして、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)を教科横断的に学ぶSTEAM教育がありますが、これをやる素地ができあがっている学校が多い印象です」(中学受験情報誌の関係者)

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