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アメリカ株に投資する日本の個人投資家にとって、西側諸国とロシア・中国の対立で、国防関連株が上昇を期待できる分野の一つでした。しかし、現在のアメリカの政治情勢の変化により、大手防衛企業の株価は伸び悩んでいる状況です。特に、トランプ大統領がホワイトハウスに復帰したことで、アメリカの国防予算の削減が進められる可能性があり、この影響を受けて防衛株が低迷しつつあるようです。
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2月25日のフィナンシャル・タイムズ(FT)(*1)によれば、トランプ大統領はアメリカの同盟国、特に欧州諸国に対して「自国の防衛費を増やすべき」と求める一方で、米国防総省(ペンタゴン)の予算削減を示唆しています。この政策の方針により、アメリカの主要防衛企業6社(ロッキード・マーティン、ゼネラル・ダイナミクス、RTX〈旧レイセオン〉、ノースロップ・グラマンなど)の株価は平均4%下落していると報じられています。
株価が低迷する可能性
一方、トランプ大統領が欧州諸国に防衛費を増加するように求めた結果、欧州の防衛企業は株価が上昇しています。ドイツの大手防衛企業の中には40%近く上昇するものもあれば、韓国の防衛大手では北大西洋条約機構(NATO)加盟国からの受注の増加期待を背景に70%近くも株価が上昇するものもあります。
日本の個人投資家の中には、米国防衛企業の株式をポートフォリオに組み込んでいる方も多いでしょう。これらの企業は、これまで安定した受注と政府支出に支えられてきたため、長期的な投資対象として人気がありました。しかし、アメリカの国防費削減が現実味を帯びれば、短期的には株価が低迷する可能性があります。