維新県議から提供された情報をもとに選挙戦で主張を展開していた立花氏

文書は「誰が書いたかわかりません」

 岸口県議にも同様に選挙をゆがめようとした疑惑が生じる。百条委で斎藤氏を厳しく追及していた竹内英明県議(当時)らが、斎藤知事を失職させた「黒幕」だと糾弾する真偽不明の文書を、選挙中の昨年11月1日に立花氏に渡した。これも「斎藤氏に関する疑惑は嘘」といった立花氏の主張につながり、立花氏によって拡散された。竹内氏は文書に書かれていたことを全否定していたが、SNSなどの誹謗中傷の集中攻撃を受け、県議を辞職。今年1月に亡くなった。自殺とみられている。

 2月23日の会見で、岸口氏は立花氏に文書を渡したことは謝罪したが、知事選にもたらした影響や、誹謗中傷がSNSなどで拡散し、竹内氏が亡くなったことなどについての謝罪はなかった。斎藤氏を応援するために出馬して「二馬力選挙」を展開していた立花氏に選挙中に会って情報提供しながら、選挙に影響しないとでも思っていたのだろうか。

 岸口氏は会見で、
「立花氏に渡った文書は事前に読んでいました。知り合いの民間人に一緒に来てほしいと言われて同席した。軽率な行為で、私が手渡したと思われても仕方ない」
 と言いつつ、立花氏が拡散させた文書について、
「誰が書いたのかもわかりません」
 と無責任に語っていた。

 ちなみに立花氏は自身のYouTubeで、
「岸口氏は会った時ベラベラしゃべって、情報を教えてくれた。紙を渡してくれました。百条委員会の副委員長ですからよけいに信用しました」
 という趣旨のことを語っている。

 岸口氏は旧民主党の衆院議員、石井一氏(故人)のもとで秘書を務め、県議に当選。当初は旧民主党に所属し、竹内氏とは同じ会派だったこともある。かつて石井氏の秘書として岸口氏と一緒に汗を流したという兵庫県民のAさんは、厳しい口調で話す。

「昔から岸口氏は責任をとらない、やばいときは人に押し付ける人。その性格そのままの記者会見でした。政治家なのだから自分で進退を決めるべき」

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