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ここ数年、若い世代を中心に1話数分のストーリーをスマートフォンの縦型画面で楽しむ「ショートドラマ」が注目を集めている。制作現場の内側を探った。AERA 2025年2月17日号より。
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ショートドラマはどのように作られているのか。
「現在七つの撮影チームがほぼ毎日どこかで稼働しており、スタッフのやりくりやコスト、スケジュール調整など走りながら考えている状況です」
こう話すのは、ショートドラマ制作集団「ごっこ倶楽部(くらぶ)」を運営する「GOKKO」(東京都豊島区)の田中聡CEOだ。「ごっこ倶楽部」は2021年5月に結成したショートドラマのクリエイター集団。翌22年に法人化した。これまでに1200本超のショートドラマを制作・投稿。TikTokをはじめとする動画の累計再生数は50億回(今年1月時点)を突破している。毎月30~60話完結の作品を3タイトル同時並行で進行し、単発ものも含めると公開本数は月間250話ほど。いずれも1分半~2分半のショートドラマだ。
冒頭からハプニング
「これより長くなるとストーリーに膨らみは出ますが、スマホ視聴者の離脱ポイントにさしかかってしまいます。意外性のあるストーリー、短時間で感情が揺れ動く、スカッとしたり感動できたりする作品を意識しています」(田中さん)
面白くないと感じたその瞬間、親指でスクロールされて別の動画へスキップされる。冒頭でスキップされるのを防ぎ、その先も離脱ポイントが生じないよう、いかにしてフル視聴してくれる人を増やすかが腕の見せどころだ。田中さんは言う。
「フル視聴してくれる人を増やすには、冒頭から2、5、15秒といったタイミングで必ず何かしらのハプニングを生じさせ、視聴者を飽きさせないストーリー展開にすることが重要です。テレビの場合、リモコンのチャンネルボタンに指をかけ、CMになるとチャンネルを替えられるよう常にスタンバイしている人をたまに見かけますが、スマホ動画は常時その状態で待機されている感じです」
ストーリーの構成は序破急でいうと、「序」ではなく「破」から始まる。音楽で言えばイントロでなくサビから始まるイメージだ。例えば学校のシーン。冒頭、制服の襟元のアップの数秒後に、生徒どうしがぶつかったり、物を落としたり、怒られていたりというシーンへと展開し、視聴者の関心をひきつける。
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【ショートドラマのトップランナー「ごっこ倶楽部」の泣ける作品】
■最後のわがまま
https://www.tiktok.com/@gokko5club/video/7453647152938634503
■REC
https://www.tiktok.com/@showdrama_24/video/7299981278869196034
■梨の木
https://www.tiktok.com/@gokko5club/video/7253647405571149057