報道陣にこたえる斎藤元彦知事
この記事の写真をすべて見る

 昨年11月の兵庫県知事選で再当選した斎藤元彦知事の選挙戦をめぐる疑惑への捜査が、急展開で動き始めた。神戸地検と兵庫県警は2月7日、PR会社「merchu(メルチュ)」(兵庫県西宮市)の事務所などを公職選挙法違反容疑で捜索した。

【写真】強制捜査が入ったmerchuが入るビル前に集まった報道陣

 この日、「merchuにガサが入る」という情報がメディアに広がったのは午前10時過ぎ。昼前にはmerchuがあるビルや、近くにある同社の折田楓社長の自宅前に報道陣が集まった。だが、捜査員や捜査車両の姿はなく、すでに強制捜査は終わっていたようだ。

 疑惑の発端は、県議会の不信任決議を受けて失職した斎藤知事が11月17日の知事選で再選を果たした3日後、折田社長がブログサイトnoteに、斎藤陣営の「SNS運用や広報全般を手掛けた」などという内容を記したことだった。斎藤陣営からmerchu側には71万5000円が支払われたが、公選法で認められていないSNS展開など選挙運動の対価として支払われたのではないかという疑いが指摘された。

 疑惑に対して斎藤知事側はmerchuへの支払いはポスター制作など公選法で認められた成果物の対価であり、SNS運用など広報戦略は折田社長個人のボランティアのため無償で、「法に抵触するような行為はしていない」と説明していた。

 しかし、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士と、神戸学院大学の上脇博之教授は広報やSNS戦略などの業務の対価として支払われた疑いが強いとして、12月に公選法違反(買収、被買収)の疑いで斎藤知事と折田社長に対する告発状を神戸地検と兵庫県警に送付。告発状は受理され、捜査が進められていた。

「折田氏側にはすでに、任意の事情聴取は始まっており、応じている。以前からパソコン、スマートフォンなどSNS展開に関連した資料の提出も合わせて求めていた。しかし、一部についてこちらの要求に応じないので、証拠隠滅の恐れもあって、強制捜査となった」(捜査関係者)

次のページ