中学受験の直前期、親は何をしたらいいのか悩むところ。都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。中学受験塾「スタジオキャンパス」代表の矢野耕平さんと対談し、ともに“中学受験生の父”も経験した2人に直前期の親の心がまえを聞きました。

MENU 受験直前期、親がやるとよいことは? 予想外のことが起きた!親がパニックになったら、どうする? モヤモヤを抱えず、塾の先生に相談してみる

受験直前期、親がやるとよいことは?

――受験の直前期では、体調不良など想定外のことが起きる可能性があります。いざ入試がスタートすると、「おそらく受かるだろう」と思っていた学校で合格を手にできないなど、親が動揺する場面も少なくありません。お二人は、直前期を迎える親御さんにはどのようにアドバイスをされていますか?

矢野耕平(以下、矢野) 予想もしていなかったようなことが起きるのが受験期なので子どもにとって「安全校」をつくっておきましょう、と親御さんたちにはお伝えしています。2月1日の午前、午後及び2月2日の午前の計3回のうち1校は必ず安全校を組み込んでおく。一つでも合格をもらうことで、3日以降の厳しい受験を戦い抜くうえでの力となる。安全校は“お守り”であり、やっぱり「合格は力」なんです。2月1から3日まですべて不合格という状況になったとして、4日の朝をご家族がどんな表情で迎えるか、と考えると、それはもう“絶望”に近いと思います。

 その状況でわが子が力を最大限に発揮できるかと言われたら、おそらく難しい。進学候補になり得る学校のなかで安全校をいかに早く見つけ、合格を手にしておくかどうか。それこそ、親ができる事前準備としては一番重要であると僕は思います。

茂山起龍(以下、茂山) あらゆる面でバックアッププランを持っておくのは大切だと僕も思いますね。うちも長男の中学受験の際、当初思い描いていた通りには行きませんでした。でも、「ここなら通ってもいい」と思え、さらに偏差値のうえでも手が届く可能性が高い学校を受験し、合格できたことは本人にとって、その後の原動力になったと思います。苦戦が続いていましたが、結果的に第1志望校の合格を手にすることができました。長く合格をもらえていない状況から、「一つでも合格をもらいに行く」という選択をしたのは良かったな、と思います。

矢野 精神的に楽になったのでしょうね。「進学先を確保できた」という事実は、連日試験を受けていくうえでの原動力になるのは間違いないと思います。

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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