音楽性が高く評価されている「どぶろっく」

音楽性が高いアーティストとしても認知

 実際、ミュージシャンからの信頼も厚いようだ。イベント制作関係者はこう語る

「キュウソネコカミやMOROHAといった実力派バンドとのツーマンライブツアーを実施するなど、まるで音楽アーティストのような活動もしています。特に奥田民生とは相思相愛ぶりは有名でしょう。どぶろっくのツーマンライブで民生さんが対バンとして出演したり、民生さんの周年ライブにおいしいポジションで出演したりと、ミュージシャンとしても芸人としても評価されているんです。音楽とお笑いは意外と親和性が高く、ロケットマンというDJネームでも知られるふかわりょうも、かなり本気の音楽活動を展開しています。芸人ではほかにも、やついいちろうやダイノジもDJとして活動してフェスを開催するなど、音楽への造詣が深いことでも知られています」

 ギターの森はソロアーティストとしても活動しており、もはや芸人というよりミュージシャンといったほうがいいかもしれない。前出のイベント制作関係者が続ける。

「音楽ファンというのは意外と懐が深いんです。ヤンキースタイルで知られる氣志團や楽器を持たないゴールデンボンバーなどに代表されるように、音楽性が高いアーティストであれば、『ネタ』っぽいバンドでも、コンプラ無視の下品なバンドでも受け入れて楽しんでしまうところがあります。どぶろっくにとって、音楽イベントはぴったりの活躍の場でしょう。芸人としてテレビで生き残れなくてもフェスやライブの世界で十分にやっていけると思います」

 お笑い評論家のラリー遠田氏はどぶろっくをこう評価する。

「芸人としてのどぶろっくの強みは、音楽性の高さです。2人とも歌唱力があって演奏もうまいので、受け手が自然に彼らの音楽ネタに引き込まれていきます。笑いの基本はフリとオチであると言われますが、彼らはオチまでのフリをきかせるのが抜群にうまい。オチに向かう過程で普通に歌うだけでフリがきいて、見る側の期待感がどんどん高まっていきます。そして、それがピークを迎えたところで、どぎつい下ネタのオチが炸裂することになる。この必勝パターンを持っている限り、今後もどぶろっくの仕事が途絶えることはないでしょう」

 お笑いと音楽の境界線を行き来する“二刀流”として、新たなポジションを築ける可能性を秘めているのかもしれない。

(雛里美和)

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