仕事のやりくりに必死
6年生になると、志望校別クラスが始まる。だが、次女が第1志望にした大学付属校のクラスはなかった。そこで、集団指導を続けつつ、隣接する系列の個別指導塾にも入ることに。いおりさんは、「集団塾よりもきめ細かく見てくれますし、親の話も聞いてもらえます。結果的に私のメンタルの助けにもなりました」と話す。学習指導をプロに任せたおかげで自宅では「勉強しなさい」バトルを繰り広げることも減り受験直前も平穏に暮らせたという。
多忙を極めたが、長女の大学受験も終えたいま、いおりさんは「大学受験は中学受験より大変な面がある」と振り返る。
「中学受験の入試は1週間ほどで決着がつきますが、大学は国立後期入試まで含めると3カ月程度かかりますし、込み入ったスケジュール管理や合格後の入金手続きは親のサポートは必須です。仕事とのやりくりも1週間ならなんとかなるけど、3カ月間ずっと続くので、精神的に大変でした。成績に不安のない長女でさえそんな具合でしたから、次女の場合、どれだけ大変だろうと中学で決まる方が絶対いいと思って必死でしたね」
仕事をしながらも、こうした王道の中学受験コースを辿る親子がいる一方で、働いているからこそ、かけるお金も時間もほどほどの“省エネ受験”を目指す家庭も目立つようになってきた。
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2024年12月9日号より抜粋