立花孝志氏を県警が事情聴取
この兵庫知事選関連では、ほかの案件でも刑事捜査が動き始めている。
知事選に立候補しながら、
「私には入れないでください。斎藤知事に1票を」
と自らの当選ではなく斎藤氏のバックアップをするという稀有な選挙戦を展開した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。この立花氏に対し、兵庫県警は12月22日、兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)委員長で、弁護士でもある奥谷謙一県議への名誉毀損容疑で事情聴取をした。虚偽の内容をSNSに投稿されたと奥谷県議が刑事告訴していた。
奥谷県議は告訴状で、立花氏は10月末~11月初めにXで、斎藤知事らの疑惑を内部告発した元県民局長の死亡原因を奥谷県議が隠蔽したなどとする虚偽の内容を投稿したと主張している。
立花氏はこれに対し、「(投稿には)真実相当性がある」と、名誉毀損にはあたらないとの認識を示している。
前尼崎市長アカウント凍結の告訴状も受理
また、知事選で斎藤氏に次ぐ2位で落選した前尼崎市長の稲村和美氏の後援会が運営していたXの公式アカウントが、知事選中に2回凍結された問題で、兵庫県警は20日、後援会から出されていた偽計業務妨害容疑の告訴状を受理した。告訴状では、稲村氏の後援会が開設した2つのXアカウントが選挙期間中に突然凍結。複数の人物がXの管理者に噓の通報を行った疑いがあるとしている。
再び知事のいすに座った斎藤氏の周囲では、これから様々な捜査が進んでいく。冒頭の県職員、Aさんはこう話す。
「知事は私の知る限り、声を荒げることもなく、淡々と報告を聞いています。しかし、捜査のこともあるので、職員はさらに遠く距離を置いている。真偽は不明ですが、県庁内では、捜査当局から資料を出せと言われた部署があるという噂が飛び交っているのです。もし資料を出せと言われたら、斎藤知事の許可をとるわけにもいかないですし、かといって求められる通りに資料を出せば、知事から何を言われるかわかりません。知事を告発した元県民局長が自殺したこともあり、怖くて県庁内には副知事や幹部に就きたいという声は皆無です。継続中の百条委員会に斎藤知事がさらに証人として呼ばれていますし、県庁内部に捜査が及ぶかもしれない。県政は今も停滞しています」
再選を果たした後、斎藤氏は「県政を前に進めていく」と繰り返し話していた。しかし年を越しても前に進みそうもない。
(AERA dot.編集部・今西憲之)