2024年は日本の月探査にとって記念すべき年だ。1月、無人月探査機「SLIM」が世界で5カ国目となる月面への着陸に成功。しかも、目標地点から約55メートルしか離れていない地点への「ピンポイント着陸」だった。エンジンを上に向けたさかさまの姿勢での着陸だったことで太陽電池に十分な日光が当たらず、休眠と活動再開を繰り返した末に運用停止に至ったことは記憶に新しい。
SLIMの奮闘に負けじと、テレビアニメ化が話題の「科学漫画サバイバル」シリーズ最新刊は、ダイヤ、マーレ、キュリが月面着陸を目指す『月のサバイバル』。子ども宇宙飛行士として地球を飛び立った3人が思わぬトラブルに巻き込まれながらも、地球への帰還を目指す冒険物語に、月や宇宙を巡る最新情報がちりばめられている。
この記事では『月のサバイバル』の中から、きっと誰かに話したくなる月や宇宙に関するトリビアを紹介したい。親子で、友人同士で、「知ってる?」と宇宙の話題を楽しんでほしい。
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月のウサギの正体は?
満月の時に見える月の模様を、日本では餅つきをするウサギになぞらえてきた。望遠鏡で見ると、ウサギの姿に見えるうすぐらい模様は、平らなところであることがわかる。この平らなところを「海」と呼ぶ。
月の海は、月が約45億年前にできて間もないころに小天体が繰り返し衝突し、大きなクレーターができたあとに地下からマグマがあふれ出し、それが冷えて固まったところだと考えられている。海が黒っぽく見えるのは、マグマが固まってできた玄武岩と呼ばれる岩石が黒い色をしているからだ。
黒い色をした「海」に対し、明るいところを「陸(高地)」と言う。海と陸が作る形を何かになぞらえるのは日本だけではない。中国でも月にウサギを見ているし、ほかの国々ではカニやライオン、女性の横顔になぞらえるところもあるという。
月面には「穴」がある?
日本が2007年に打ち上げ、月を回る軌道上から約1年半にわたって月面を観測した「かぐや」が、意外なものを見つけた。それは、月の表側の西部「嵐の大洋」の中の「マリウス丘」にある直径約50メートル、深さ約50メートルのたて穴だ。観測データを詳しく調べたところ、地下数十~数百メートルの深さに、いくつもの空洞があることがわかった。