バッキンガム宮殿での晩餐会を前に、菊をモチーフにした「皇后の第二ティアラ」を着けた皇后雅子さま。宝石の存在感が強いカミラ王妃のティアラと、自然の造形美を細工に昇華した日本の職人の手による雅子さまのティアラとの個性の違いが興味深い=2024年6月25日、ロンドン
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 皇后雅子さまは12月9日に61歳の誕生日を迎えられた。皇室の活動が本格化し、周囲を明るくする笑顔が見られるようになったとともに、雅子さまの顔の上で輝くティアラを目にする機会が増えた。今年の元旦に皇居・宮殿で執り行われた「新年祝賀の儀」では、女性皇族が4年ぶりにティアラを着用。そして6月に訪英した際の晩餐会では、皇后の「第二ティアラ」に注目が集まった。そして「皇后のティアラ」「皇太子妃のティアラ」と、雅子さまを煌めかせてきたティアラの魅力を紹介する。

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 英国を公式訪問されていた天皇、皇后両陛下は6月26日(日本時間)、ロンドンのバッキンガム宮殿でのチャールズ国王夫妻主催の晩餐会に出席。このとき、皇后雅子さまの顔の上で輝いていたのが、歴代の皇后に受け継がれてきた「皇后の第二ティアラ」だった。
 

日本の美意識が昇華「菊の第二ティアラ」

 菊の花をモチーフにした第二ティアラは、大正時代に御木本(現・ミキモト)が「皇室公式用御冠調製」として納めたティアラで、歴代の皇后に受け継がれてきたものだ。

 宝飾品業界に従事する人物は、平成の時代に制作されたティアラと比べると重量感があり、堂々としたデザインであると話す。

「菊や葉にしっかりと厚みを持たせた写実的な細工。たとえば、花弁は1枚ずつ階段を昇るように重なり合い、一輪の菊を完成させています。自然の造形美を日本の職人の手によって細工に昇華させており、欧州のティアラにはないデザインです」

 隣に立つカミラ英王妃の顔の上で輝くのは、96個のルビーと豪華なダイヤモンドがあしらわれた「バーミーズ・ルビー・ティアラ」。ひとつひとつの宝石と細工が存在感を放つのが欧州のティアラだとすれば、波や水、雲や霞など形のない自然までを美しく意匠化してきた日本特有の感性が日本のティアラの魅力なのだという。
 

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140個のダイヤをちりばめた首飾りと純金の腕輪