厳選された築地最高峰のエビを専門に扱う仲卸「水榮(みずえい)」は、街の魚屋やお店にとって、高嶺の花だ。
「ちょっとやそっとの魚屋や店じゃ、水榮さんからは引けない(買えない)んですよ。うちなんかじゃ無理です」
私に水榮を紹介してくれた魚屋さんは、そう話していた。店の広さはたった1枚分(約7平方メートル) だが、ここには厳選された築地最高峰のエビがある。
しかし、この道50年のエビの“目利き”である代表の森田克巳さんは、築地市場の引っ越しとともに店をたたむ決心をしたという。森田さんが店の奥から小さなデジカメを取り出し、この間撮りだめてきた築地の写真をみせてくれた。そこには、ただシャッターを切っただけではない、審美眼を感じる写真が、何枚も保存されていた。
森田さんの写した築地を紹介したい。
文・写真/岩崎有一、写真提供:森田克巳氏