公職選挙法でやっていいことと悪いことというのは、選挙に関わったことのない一般の人たちには本当にわかりにくい。初めて選挙に出る人などは、ベテランの陣営から「それは選挙違反だよ」と言われると、怖くなって何もできなくなってしまう。それで有権者に何も伝えられないまま短い選挙期間が終わり、結局選挙のやり方を熟知している人たちが勝ち続ける。これは有権者が投票に行かない理由の一つである「投票したい人がいない」ということにつながる。結局、世界一高い供託金制度も含めて、自由競争ができる選挙にはなってないところに根本的な問題があると思います。
真実か否かの判断もでき、ネットの不確かな情報を抑えられるマスメディアの力、世の中に情報を流通させる力をきちんと発揮させないと、今回のようなことが起きてしまう。
メディアやリベラルの人は、「政治に詳しくない人が雪崩を打った」と馬鹿にするのではなく、そういう人たちが政治に関心を持って投票に行ったことの意味を、まずは考えた方がいいと思います。
(構成/ライター・太田サトル)
※AERA 2024年12月2日号