メッセージのやり取りを途切れさせたくなかったり、ポケットに入れっぱなしだったり。トイレにスマホを持ち込む人は多いのではないでしょうか。その結果起きた思わぬ弊害、他人事ではありません。AERA 2024年10月28日号の記事より。
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のっけからビロウな話で恐縮だが、「“トイレでスマホ”でお尻が痒くなった」と、かつての経験を語ってくれたのは、都内で一人暮らしをする女性。
当時、年下彼氏と付き合い始めたばかり。「今何チュウ?」「家の鍵開けチュウ(ハート)」といったLINEのやり取りが頻繁で、もちろん、トイレでもすぐに彼に応答したい。もともとおなかが緩めでトイレにこもることが多い女性。“大”をして温水シャワー直後、彼からLINEが来て、それに便座に座ったまま返事をしたら、すぐにまた彼からLINE……と、“トイレでもLINE”の日々を繰り返していた。
1、2カ月が過ぎた頃だろうか、お尻の穴付近がムズムズしてきた。掻くと、痒みが増した。ドキドキしてネット検索すると、「温水シャワーで洗いすぎたり、トイレットペーパーで何度も強く拭き過ぎると、皮脂膜が洗い流され、痒みや湿疹が生じやすくなる」といった内容の記述がヒット。「肛門掻痒症、別名を温水洗浄便座症候群」ということも、その後知った。
温水シャワーの使用回数を減らしたら痒みは消えた。最近、温水洗浄便座の使い過ぎと便漏れの関係性を示した研究発表もネットで見つけ、あの頃を思い出しゾッとしたという。
日本人68%がトイレで
日本人の3分の2がトイレにスマホを持ち込んでいる──。サイバーセキュリティー企業「NordVPN」が2022年1月から23年5月にかけて世界18カ国・地域、1万7500人を対象に「トイレでスマホ」に関する調査を実施。それによると、日本人では68%がトイレにスマホを持ち込んでいるとの回答だった。
「トイレでスマホをいじっていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。便座に座る時間は1回5分程度に。“トイレでスマホ”の常習化は、思わぬ弊害を招きかねません」
こう指摘するのは、国際医療福祉大学熱海病院臨床検査科検査部長の〆谷直人医師。