奥菜恵(撮影/門間新弥)

人が何を考えているのか観察していた

“人が何を考えているのか、子どもながらにすごく観察していましたね。本心から言っているのか、言葉上で言っているだけなのか、敏感に察知して。すてきな大人もいれば、そうじゃない大人もいっぱいいるので……。”

 その後、映画にドラマ、舞台と引っ張りだこの、売れっ子になっていくわけだが、仕事も学業も両立させようと睡眠時間2~3時間の日々を送るなかで、次第に心身のバランスを崩していったという。2008年に出版された自叙伝『紅い棘』には、こんな赤裸々な記述がある。

《高校生の頃、いつだったか病院に駆け込んだことがあった。とにかく悲しくてたまらなくて、何かに取り憑かれたように泣き喚き、混乱し、呼吸がうまくできない状態に陥ったのだ。そんな状況は、実は初めてのことではなかった。それまでにも2日に一度くらいのペースで、同様の発作に見舞われていたのである。パニック障害、自律神経失調症、うつ……。病名など、はっきり言ってどうでもよかった。》

《カッターの刃を手首に当ててもてあそんでいる自分に飽きていた。しかし、思い切る勇気もない。「ここから飛び降りれば死ねるだろうか……」 当時住んでいたマンションのベランダに出て、下を覗き込んだことも数えきれない。》

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「清純派」と「魔性」