
開校当初からパズル教材を作成して使っていたが、9年ほど経ったころ、優秀な小学5年生が入塾した。その子どもと田邉先生の二人三脚で、初めて算数オリンピックに挑戦した。
結果は残念ながら、あと4点が足らず予選落ちで、メダルには及ばなかった。中学生になっても挑戦し続けたが、結局一度もメダルは取れなかった。
「メダルが取れなかったのは申し訳なかった。『もっとやれたはずだ』と振り返って改善した点を、次に挑戦する生徒に応用して、少しずつメダリストが生まれていきました」
2024年の算数オリンピックでは、りんご塾から金メダルは5人、銀メダルと銅メダルは計31人が受賞した。過去最高の成績は、悔しさから始まった経験の積み重ねだ。
田邉さんは「天才性を伸ばして、メダルをたくさん取らせてあげたい」という。
りんご塾で初めて算数オリンピックに挑戦した子どもは、現役で京都大学に合格した。初めてメダルを取った子は、大学を卒業し社会人になる年齢だという。
りんご塾で学んだ「天才」たちが、社会で大きな成果を上げる日は近そうだ。
(ライター・梶塚美帆)