滋賀県にあるりんご塾小泉本部校の様子
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 りんご塾(本部校・滋賀県)は、算数に特化した学習塾だ。勉強が苦手な子も天才的にできる子も、どちらも驚くほど成績が伸びていくという。その秘訣は「パズル」にある。

【パズル】天才たちを育てたパズルをやってみる

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天才なのに勉強が嫌い…なぜ?

「うちの子は算数の授業が嫌いなんです」

「数に関して、うちの子は少し様子がおかしい。他の子とは違う」

 親がそう言ってりんご塾を訪れる場合、その子どもたちは、「ずば抜けて算数ができる」場合が少なくないという。

 田邉亨さんが運営するりんご塾には、学校では問題児扱いされる子や、勉強嫌いの子の親が駆け込むことがよくある。

 だが、ひとくちに勉強嫌いといっても、大きく分けて2通りあるという。「ずば抜けて頭がいい」場合と「勉強が苦手で劣等感がある」場合だ。

 まず「ずば抜けて頭がいい」、つまり「天才的」な子どもの場合から見ていこう。

「数量感覚がずば抜けていると、問題文を読んだだけで即座に答えの数字が浮かびます。そうした子どもたちは、立式から順を追って計算するのではなく、答えから逆算して確かめるというような解き方をするのです。逆算して答えが合わないなら、微調整して正解にたどり着きます」

 そんなことができるのに、なぜ勉強嫌いになるのか。田邉さんの見立てはこうだ。

わかりきったことは退屈すぎてつらい

「彼らは途中式という概念が希薄で、答えとは『初めから出てくるもの』なのです。どうやって解いたのか説明を求められても、低学年のうちは答えられません。繰り上がりの説明を求められても、めんどくさいとしか思いません。だから、7+5=12のようなわかりきったことを何度もやらされるのは、退屈すぎてつらいんです」

 これは私たち大人が「7+5=12であることを説明しろ」と言われても、「それはそうでしょう」としか言えない感覚と似ているそうだ。

 こうしたずば抜けた子を指導した経験のない先生は、「途中式」や説明を求めてしまい、子どもと信頼関係をなかなか築けないという。

 そうした子どもの勉強嫌いを克服するには、どうしたらいいのだろうか。

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劣等感を抱える子どもたちは