性能重視で開発されるGMレンズ登場
フルサイズα7シリーズ用のEマウントレンズに新しくGMシリーズが加わった。これにより既存のソニーレンズ、カール ツァイスレンズ、Gレンズと合わせて4種になる。もともとすみ分けが明瞭でない一面もあったが、さらに複雑化することになった。
ただし、GMはGマスターのことで、Gレンズよりさらに上位規格で作られる製品シリーズだ。新開発の超高度非球面レンズを用いて諸収差を抑え、さらに高解像を追求したほか、解像との両立が難しいボケについても周辺に強いエッジを出さず周辺になじむ理想的なボケを目指したという。防塵・防滴性能も備える。
85mmF1.4といえば、ポートレートレンズともいわれる看板商品だ。ついボケを生かした開放絞りを楽しみたくなる。FE85㎜ F1.4GMでは、より高いピント精度を得るためにレンズ位置の検出制御などを二つのセンサーで行うなど、丁寧なつくりが光る。手にすると、スピーディーなAFやボケ再現に思わず頬が緩む。同社のAマウントレンズ用には、定評あるPlanar T*85㎜ F1.4ZAもあるが、それと比べても色収差の少なさやシャープさは一枚上手の印象だ。
24~70mmは、同じフルサイズ用のEマウント用に、開放絞りが1段暗いF4通しのVario -Tessar T* FE24-70㎜ F4 ZAOSSがある。それよりも開放で1段明るくなるが、ミラーレス機では電子ビューファインダーのためファインダー像の明るさにとらわれず、感度の自由度も高く、F2.8のアドバンテージはさほど大きく感じないが、その1段にゆとりを求める人には待望の製品だ。開放絞りから隅々まで、くっきり気持ちのよい描写は、目を楽しませてくれる。ただし、ツァイスのF4にはレンズシフト式の手ブレ補正機能が内蔵されているが、本製品は非搭載という違いがある。
85mmのGMも手ブレ補正は搭載されていない。ボディー内にセンサーシフト式の手ブレ補正機構を搭載しないα7/7R/7Sでは、手持ち撮影時は特に気をつけたい。
どちらもレンズ単体でのボリュームに面食らうところもあるが、それでも他社のフラッグシップ機と比べれば、ボディーを含めればコンパクトにまとまる。大口径レンズの投入でソニーのフルサイズミラーレス機の猛追に拍車がかかりそうだ。
◆桃井一至
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FE 85mm F1.4 GM
●焦点距離・F値:85mm・F1.4●レンズ構成:8群11枚(超高度非球面レンズ1枚、ED<特殊低分散>ガラス3枚)●最短撮影距離:0.85m(MF時は0.8m)●最大撮影倍率(35mm判換算):0.12倍●画角:29°●フィルター径:φ77mm●大きさ・重さ:φ89.5×107.5mm・約820g●価格:税別22万5000円(実売22万1000円)
FE 24-70mm F2.8 GM
●焦焦点距離・F値:24~70mm・F2.8●レンズ構成:13群18枚(超高度非球面レンズ1枚、非球面レンズ2枚、ED<特殊低分散>ガラス1枚、スーパーEDガラス1枚)●最短撮影距離:0.38m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.24倍●画角:84~34°●フィルター径:φ82mm●大きさ・重さ:φ87.6×136mm・約886 g●価格:税別27万8000円(実売27万2700円)