静かに本を読んでいる子ども。でも、本当にその本を楽しめているのでしょうか? 「本を読んではいるけれど、実は内容が理解できていないということは、実は意外と多いんです」と話すのは、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を運営する笹沼颯太さんです。大人が抱きがちな「子どもの読書の勘違い」や、読書に必要な力とその鍛え方についてお話を聞きました!

MENU 子どもの読書をつまらないものにしてしまう、大人の思いこみ 「文字が読める」ほかに、読書に大切な力があります 読みやすいレベルの本を、とにかくたくさん読もう!

子どもの読書をつまらないものにしてしまう、大人の思いこみ

――本が読めているのなら、もちろん内容もわかっているものと思うのですが……。

 ただ「読める」ことと、内容が「わかる」ことは同じではありません。

 文字が「読める」とは、文字を追って発音ができたり、読み方がわかるということですよね。でも、文字が読めても、その内容をちゃんと理解までできているかどうかは、大人が思っているものとは乖離があるケースが多いものです。

 たとえば、学校の教科書を自分で読んだだけでその内容が全部わかるかというと、決してそうではありません。だからこそ、授業を受けて理解を深めるわけです。教科書の文字を追うことはできるけれど、理解、吸収は難しい。なぜなら、新しい漢字や言葉が出てくるし、内容もその子どもの読書レベルとぎりぎり同等か、それ以上のものになるからです。

 子どもが内容を理解しているかどうか見分けるのは、「どこがおもしろかった?」と感想を聞いたり、落ちを聞いたりするのがいちばんのおすすめです。答えから「ちゃんと読めてるな」「理解できていないかも」ということが見えてきます。

 また、音読がスムーズに行えるのは、その先に書いてあるであろうことを想像しながら読むことができている証拠です。さらに、抑揚もつけられているようなら、情景がきちんと思い浮かべられているということですね。

 ここに気づかず、読めるからとどんどんレベルを上げて本をすすめても、「読めるけれど内容がいまいち理解しきれない……」という状態になるでしょう。これでは、せっかくの読書がつまらないものになってしまいますよね。

次のページへ「文字を読める」以外に大切な力は?
著者 開く閉じる
笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

1 2 3