毎年10月22日に行われる「時代祭」は、上賀茂・下鴨両神社の葵祭(5月15日)、八坂神社の祇園祭(7月1日~31日)と並ぶ、京都三大祭のひとつ(写真 平安神宮提供)
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 秋の京都に思いをはせることが難しいほど、今年の夏はもちろん、今年の初秋は暑かった。猛暑日や真夏日から開放されたいま、待ち遠しいのは秋の京都で繰り広げられる祭の数々と、紅葉だ。

 ASAHI ORIGINAL 紅葉ガイド特別保存版「秋の京都2024」は、紅葉の名所のみならず、秋の京都ならではの祭や行事も紹介している。その中から、10月のハイライトをこの記事で紹介したい。

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 秋の京都の祭や行事は、都の歴史を感じる情緒や平安時代の風流を体感できる貴重なチャンス。秋の京都旅のプランに、ぜひ祭や行事も組み込みたい。

千年の“歴史”が京を練り歩く「時代祭」

2024年は10月22日火曜日の12時に京都御所建礼門前を出発。雨天の場合は1日のみ順延となる(写真 平安神宮提供)

「時代祭」は京都三大祭のひとつで、明治28年に平安遷都1100年を記念して始められた、平安神宮の大祭である。祭は平安京を遷した桓武天皇が入京したとされる10月22日に行われる。

 総勢2000名からなる全長2キロの時代行列は、明治維新から延暦時代までをさかのぼっていく。鼓笛を鳴らしながら行列の先頭を歩くのは、明治維新時代の「維新勤皇隊列」。幕府の遺臣に対抗するため、官軍に参加した山国隊を表している。安土桃山時代は、豊臣秀吉が朝廷に上がる時の様子を描く「豊公参朝列」。秀頼初参内と元服の際が、最も豪華だったと伝わる。

 平安時代の女性風俗の移り変わりを表現する「平安時代婦人列」には、清少納言と紫式部も加わる。行列の最後は最も重要な神幸列が粛々と進む。各時代を駆け抜けた人物や時代考証に基づいた豪華な衣装と道具、民衆の文化や風俗を、絵巻物を見るように鑑賞できる、一度は見たい祭だ。

伏見の城下町が熱くなる「神幸祭 神輿巡行」

2024年は10月13日日曜日の8時~20時30分を予定。神幸祭期間は10月5日から13日までの9日間(写真 伏見百景編集委員会提供)

 平安時代に境内で香りのよい水が湧き出たことから、清和天皇より神社名を賜ったという御香宮神社。「神幸祭」は、伏見一帯の氏子が参加する大祭だ。

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