自民党総裁選後、取材に応じる高市早苗経済安保相
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 石破茂氏の逆転勝利で幕を閉じた自民党総裁選。1回目の投票では石破氏を上回る得票で1位だった高市早苗氏は、21票差で涙を飲んだ。敗因はなにか――。永田町で総裁選を見てきた政治評論家の有馬晴海氏が解説する。

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ーー高市氏は自民党へ入党後、2011年までは後の安倍派になる清和政策研究会に入っていましたが離脱し、それ以降は無派閥として活動していました。安倍晋三元首相からは「仲間を増やす努力を」と言われてきて、今回の総裁選でも当初は推薦人20人を集められるのか、との見方も出ていました。仲間を作らない高市氏が1回目の投票で1位になり、決選投票にまで残るのは意外ではありませんでしたか

 私も決選投票は、石破さんと(小泉)進次郎さんの戦いになると思っていました。ところが、進次郎さんは選挙戦の終盤に、「発言に中身がない」などの批判を受け、失速してしまいました。高市さんは「票が集まらないのでは」という不安の声を打ち消し、12日の告示には20人の議員らが推薦人に名を連ねていました。ただ、その推薦人の中には裏金を受け取っていたと党本部が公表している議員が13人もいることが明らかになり、うち6人は党の役職停止などの処分を受けています。

“裏金応援団”とまで言われ、批判が相次ぎましたが、見方を変えれば裏金議員にとって高市さんは「最後の砦」みたいなものです。高市さんはこれまでの記者会見などで「(裏金問題をめぐっては)党が聞き取り調査をして、厳正な処分を下している。追加的な調査は考えていない」と明言しています。石破さんはそこまで言い切っていないため、裏金議員にとっては「これ以上、深掘りされたくない」との思いが強く、高市さんに票を入れたのではないでしょうか。

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