わだ・なつき/2003年、大阪府生まれ。中学2年生で卓球を始め、23年にチェコ・台北・台中パラオープンで3大会連続優勝。同年10月のアジアパラ競技大会も制覇し、パリ大会出場権を獲得。内田洋行所属(写真/越智貴雄)
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 9月もまもなく終わります。最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は8月19日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 AERAの連載「2024パリへの道」では、今夏開催されるパリ五輪・パラリンピックでの活躍が期待される各競技のアスリートが登場。これまでの競技人生や、パリ大会へ向けた思いを語ります。
 

 パリパラリンピック行きを決めた瞬間、たった一人でこうつぶやいた。

「すごく、がんばった」

 昨年10月、中国・杭州で開かれたアジアパラ大会でのことだ。卓球シングルス女子(知的障害)の決勝戦に進出した和田なつきは、これまでにないプレッシャーを感じていた。勝てば、パリ大会の出場権が獲得できる。しかし、相手は2カ月前のタイ・パラオープン大会で敗れたウォン ティン ティン(香港)だった。

 和田にはこの一戦にかける強い思いがあった。

「タイで負けてからは彼女に勝つことだけを目標にしてきた。男子選手に王選手のプレーをまねて相手になってもらったんですけど、試合前もうまく対応できなくて。泣きながらずっと練習してました」

 リベンジを誓った決勝戦。第1セットは落としたものの、第2セットから3セット連続で奪取し、アジア王者に輝いた。冒頭の「すごく、がんばった」は、勝利の瞬間に思わず漏れた心の声だった。

 誰からも愛される笑顔。その一方で、悔しい時は人目もはばからず泣いて悔しがる。ラリーの練習で思い通りの返しができないと、コーチに「もう1回お願いします!」と何度も訴え、納得するまで終わらない。

 新しい技を覚える時は、「ど根性」の集中力で反復練習を繰り返す。新しい技への探究心も旺盛で、習得したサーブの数は10種類以上。173センチの身長と長い手足を活かし、強い回転をかけるしゃがみ込みサーブ、横回転をつける巻き込みサーブなど、変幻自在にボールを操る。

 2022年11月にダブルスで国際大会にデビューすると、翌年6月のチェコパラオープンの女子シングルスで初優勝。その後、台北、台中大会も制覇し、3大会連続優勝の快挙を成し遂げた。無名の選手が、たった1年で世界ランキング2位まで駆け上がった(7月現在は4位)。

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小学生の頃にいじめを経験して不登校になった