働き方改革が進む中、職場で年長者やプロジェクトリーダーは、若い世代とどう向き合えばいいのか。叱咤激励のつもりがハラスメントで訴えられる、なんてことにならないようにするために気を付けるポイントは。専門家に聞いた。AERA 2024年9月23日号より。
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労働環境の改善が指摘されるようになった13年以降に社会人となった世代とそれ以前から働いていた世代とでは、働き方への意識も大きく異なる。今はまだ「働き方改革以前」世代が職場の主流だが、やがてそれも移りゆく。
そんな変化に対応すべく自身をアップデートさせたのが、組織風土づくりを支援するコンサルティング会社「KTゲームチェンジャーズ」の松川隆さんだ。きっかけは、約10年前に当時所属していたサイボウズで経験した、“炎上”だ。
新人だけで営業から販売までを体験する「実践研修」の責任者をしていた松川さん。最後の1週間に差し掛かり、目標達成まであとわずか。そんなとき、ある社員が松川さんのところにやってきてこう言った。
「あれ、いいんですか?」
視線の先には、新入社員たちが先輩社員とランチで情報交換をしたり、楽しげに話している姿があった。今振り返れば、何がよくないのかわからない。ただ、そのときは「ゴールテープを切る前に他のことをするなんて!」という空気感があったのだという。
これはいけないと社内掲示板を開いて、こうつづった。
〈ルールには書いていないけど、こういう見られ方をしますよということを知っておいてほしいので、お伝えします〉
上司批判に「いいね」
受注件数を達成するためにたくさんの先輩社員が協力していること。だからこそ、お昼休みも頑張ってほしいこと。そんな思いを書き込んだ。
投稿を見た新入社員たちからも、「残り1週間ちゃんとやります」「そんな見え方がすると思っていませんでした」との反応があった。
きっと頑張ってくれるはずと安心したのも束の間、掲示板に異変が起きる。