AERA 2024年9月23日号より

「書き込みを見た入社4、5年目の社員たちから『お昼休みの時間を制限するのはおかしい』と返信があったんです」

 すぐに「そんなつもりはなくて……」と返事をしたが、「あの書き込みではそうは読めない」「松川さんの書き込みのほうが信頼を下げると思いますよ」と取り付く島もなかった。

 さらにショックだったのは、松川さんをいさめる投稿に「いいね」がたくさんついていたこと。

「僕の投稿には『いいね』が一つもつきませんでした。トイレで会ったときに、『大変そうですね』と言ってくれる同僚はいましたが、だったら掲示板に書いてよ、と(笑)。でも、こうした経験を経て、自分が変わろうと思うようになりました」

 上の考えが是だった昭和の時代を駆け抜けてきた松川さん。だが、「多様性」がキーワードになる今の時代に年長者やプロジェクトリーダーの考えを押し付けることは、メンバーの自主性や楽しさを奪いかねない。若手社員とのやり取りで、そんなことに気づいたという。

「それに、年を取るごとにフィードバックしてくれる人も少なくなってくる。だったら、『そのファッションセンスやばいっす』とか言ってくれる若い人たちが周りにいるほうがいいと思いませんか?」

 そう振り返る松川さんの口ぶりはどこか軽やかだった。(編集部・福井しほ)

AERA 2024年9月23日号より抜粋

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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