ダイアナ元妃と王子2人(1987年8月9日、AP/アフロ)
ダイアナ元妃と王子2人(1987年8月9日、AP/アフロ)

 しかも王室を離脱したとはいえ、称号を返上しないばかりか、その地位をビジネスに生かす。まるで古巣への当てつけのようだ。もちろん王室側も黙ってはいない。2人への冷遇ぶりが端的に現れたのは、なんといっても今年6月の「プラチナ・ジュビリー」だろう。

 エリザベス女王(96)の即位70年を記念したイベントで、王子とメーガンさんも2人の子どもと共に渡英した。だがバッキンガム宮殿のバルコニーには立たせてもらえず、セントポール大寺院の記念礼拝では、ほとんど末席をあてがわれた。

 国民からのブーイングを浴びた一家は、早々に米国に帰った。8月4日のメーガンさん誕生日には、女王からの祝福カードが届かなかった。

 ハリー王子と兄のウィリアム王子との関係もぎくしゃくしている。8月31日にはダイアナ元妃の没後25年を迎えたが、兄弟がそろって追悼の気持ちを分かち合う機会は、公私ともに持たなかった。

 そのウィリアム王子一家はまもなく、女王の住まいであるウィンザー城の敷地内にあるアデレード・コテージに移る。3人の子どもたちは、英国でもトップクラスの私立プレップスクール、ランブルック校(3~13歳)に通わせる。両親が交代で送り迎えをするという。

 ハリー王子夫妻は9月5日から、チャリティーイベントに参加するため渡英し、同じ敷地内のフログモア・コテージに宿泊する。すでにウィリアム王子一家は引っ越しているはずで、互いに徒歩で行き来できる距離で過ごす。それでも、2人に会う予定はない。

 母を亡くした後、互いに助け合い支えあってきた2人は「理想の兄弟」と言われてきた。だが今では「ハリー王子の横にメーガンさんがいる限り、関係修復は無理だろう」と言われている。

 ハリー王子がメーガンさんと付き合い始めたころ、兄は「もう少し時間をかけてから決めたほうが良い」と忠告した。メーガンさんのスタッフに対するいじめの報告を受けて、ハリー王子に問いただしたこともあった。

 そうした兄の思いをハリー王子は理解せず、むしろ許せないでいる。「キャサリン妃は、メーガンさんにもっと親切に接するべきだ」とも言った。ハリー王子は結婚前から「兄は僕のやりたかったチャリティーのパトロンを取った」と愚痴っていたと言われている。

 兄と弟の確執は思ったより根が深い。メーガンさんの出現で決定的になったともいえるだろう。

(ジャーナリスト・多賀幹子)

※週刊朝日オリジナル記事

著者プロフィールを見る
多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

多賀幹子の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)