「死の棘」がカンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、記者会見する小栗康平監督(右から2人目)と主演の岸部(左)=1990年5月 写真提供=(株)アン・ヌフ
「死の棘」がカンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、記者会見する小栗康平監督(右から2人目)と主演の岸部(左)=1990年5月 写真提供=(株)アン・ヌフ

「タローは11月で喜寿(77歳)。12月には喜寿になって初のライブを考えていて、内容もいつもと少し違うみたいだし、楽しみだよね」

 同じく音楽活動を続ける加橋かつみも4月、「THE G.S栄光のグループサウンズ」公演で元気な姿を見せたという。

 6月25日は岸部と森本、瞳が参加する、さいたまスーパーアリーナでの沢田研二75歳“バースデーライブ”だ。6月に入れば、メンバーそろってのスタジオ練習が始まる。

「音楽はね、楽しい。(ザ・タイガース再結集は)13年でもやっているんだけど、しばらくベースから離れていて、練習するとまた弾けるようになる。そうするとやっぱり僕は音楽少年だったんだなって」

 考えてみれば、ザ・タイガースのメンバーが集まってやれるのは最後かもしれない。願わくば、加橋にも参加してほしかった。でも、電話しても出ないから、そっとしておこう。

「タイガースのメンバーと出会えて良かった。うっかりしたら、良い俳優を最後まで通そうとか、そんなことになっていたかもわからない」

 岸部はいま、そう思っている。(了/敬称略)(本誌・渡部薫)

週刊朝日  2023年6月9日号