タワマンが林立する武蔵小杉=神奈川県川崎市、米倉昭仁撮影
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 集合住宅の修繕工事の原資「修繕積立金」の不足が深刻化している。国土交通省によると、積立金不足のマンションの割合は、2018年度までの5年間で約2倍に増えた。一方で、積立金を積極的に運用し、大きな利益を生み出したマンションがある。

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15年で2億4000万円の利益

「15年間の資産運用で、約2億4000万円の利益が出ました」

 そう語るのは、神奈川県川崎市のタワーマンション「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー」の管理組合法人で代表理事副理事長を務める志村仁さんだ。

 この利益は、敷地内駐車場を「外部貸し」するなどの実物資産運用と、修繕積立金を原資とした金融資産運用による利益を合わせた金額だ。

 近年、駐車場の外貸しを行う集合住宅は珍しくない。だが、「管理組合が積極的な資金運用を行っているとは言いがたい」(大和ライフネクスト・マンションみらい価値研究所)現状がある。そんな状況下で、同管理組合法人は、現在、20億円強の資金を社債で運用している。

 なぜ、彼らはそこまで「増やせた」のか。

修繕積立金を「運用して増やす」

 集合住宅は一定年数の経過ごとに修繕(長期修繕)を計画的に行う。それを目的に積み立てられるのが修繕積立金だ。

 だが、老朽化が進んだ集合住宅では、居住者の高齢化も進んでいる。大規模改修に向け、積立金を値上げしようにも「生活に支障が出る」などの理由で困難な場合が少なくない。

 そこで、注目されるのが「運用して増やす」という選択肢だ。管理組合にとって積立金は毎月の定額収入だが、改修などで実際に支出が発生するのは数年から十数年ごと。つまり、多額の資金が存在する期間があるということだ。

積極的な運用はわずか

 国交省が行った「令和5(2023)年度マンション総合調査」によると、修繕積立金制度がある全国1522件の管理組合に、積立金の運用先を複数回答で尋ねたところ、以下のような結果になった。

 銀行の普通預金は1169件(76.8%)、定期預金は534件(35.1%)、利息がつかない決済性預金は390件(25.6%)、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」は290件(19.1%)、積み立て型マンション保険は22件(1.4%)、国債は2件(0.1%)など。

 管理組合の資産運用では、基本的に、元本割れをしない運用が重視される。

 しかし、マンションみらい価値研究所は「低金利の時代、リスクの低い金融商品だけでは、資金は増えない。修繕積立金不足の解消などの課題解決には役立たないことは明らか」と指摘する。

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「定期預金はもったいない」の指摘