長女が病院を受診した時の待合室での様子です。長期休みは受診が増える時期ですが、長女はDVDがあればおとなしいので助かっています(撮影/江利川ちひろ)
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「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

【写真】医師は長女の顔を見ず、何の声かけもなく……小児科と成人科の違いにショックを受けた瞬間

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 8月半ばになりました。以前このコラムでも書いた通り、今週末から私自身が手術入院をする予定のため、感染症対策で引きこもりの日々が続いています。

 医療的ケアが必要な18歳の長女は、私の入院直前に、いつも短期入所でお世話になっている大学病院に入院します。通常の短期入所の利用は1週間程度ですが、今回は他に預け先が見つからなかったので長めに調整してもらえることになりました。長女が18歳になり、この大学病院の短期入所を利用できるのは今年度限りのため本当に助かりました。その後、9月には18歳以上の医療的ケア者を受け入れている国立病院に10日程度の予定で短期入所に行けることになり、夫の仕事の調整も合わせると、綱渡りながらも何とか療養ができそうでホッとしています。

体調が万全でなくても

 私の病気がわかったのは6月でした。長女は5月に18歳になったばかりで、利用できる福祉サービスが、児童福祉法の制度から障害者総合支援法の制度へ切り替わるタイミングだったため、新たな受診や複雑な手続きが必要な時期でした。

 長女は高3なので、この夏は来春に特別支援学校を卒業した後の進路や、小児科領域から成人科領域へ移行するために新たな受診先や短期入所先を探さなければならない時期でもあります。特に小児科から成人科への移行はすべて保護者が考えて動かなければなりません。

 長女は7月末に自宅近くで在宅診療を行っている病院の予約が入っていました。私の体調は万全ではなかったものの、キャンセルするとまた最初から予約をとり直さなければならなくんってしまうので、予定通り長女を連れていきました。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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