秋の訪れにより、外出時の暑さも和らいできました。この時期、紅葉など日本の風景はとても美しくなります。
鉄道好きの方なら美しい景色と共に、お気に入りの鉄道を撮影したくなるのではないでしょうか。
そんな鉄道撮影に機材を選ぶなら……キヤノンやニコンを中心とした一眼レフカメラになることが多いのではないでしょうか?
バズーカ砲のような望遠レンズを、一眼レフカメラ、それもフルサイズのモデルに装着して美しい流し撮りを撮影する……これは、1つの憧れではないでしょうか。
流し撮りは一眼レフカメラの独壇場?
一眼レフカメラの構造を簡単に確認してみましょう。
一眼レフカメラでは、レンズを通った光がカメラ本体にあるミラーで角度を変えて、ファインダースクリーンを通過。ペンタプリズムまたはペンタミラーを通りファインダー接眼窓に導かれます。
そのため、レンズを通した映像を光学ファインダーでダイレクトに見ることができるので、鉄道車両のように動く被写体を追いやすく、撮影しやすいメリットがあります。
そして、シャッターボタンを全押しすると、レンズ奥にある本体のミラーが跳ね上がり、レンズからの光がシャッターへ直進。同時にシャッターが開くことで、イメージセンサーに光が当たり撮影できるのです。
一方、ミラーレス一眼は、その名の通り、原則としてミラーや光学ファインダーを持ちません(一部機種を除く)。レンズを通した光がイメージセンサーに当たると、画像処理エンジンにより画像データに生成。このデータはファインダーや液晶モニターに表示され、光学ファインダーの代わりに液晶や有機ELなどの画面で画像が確認できます。
また、ミラーやペンタプリズム、光学ファインダー機構を必要としないため、一眼レフカメラと比べて小型・軽量化しやすいのがミラーレス一眼のメリットです。加えて、画像を確認しながら光の量や明るさ、アングルなどを自在に調整できるのも魅力です。
ところが、かつてのミラーレス一眼は、イメージセンサーや画像処理エンジンの性能が伴わず、モニターや電子ビューファインダーへの反映にラグ(遅延)が発生することがあり、「動く被写体に弱い」といわれることが、実際にありました。
しかし、最近のミラーレス一眼ではラグが極めて少なくなり、またオートフォーカス性能も向上しています。
そのため、流し撮りなどのテクニックをミラーレス一眼でも発揮しやすくなっているのです。
ミラーレス一眼ってどんなメリットがあるの?
さて、ここまで一眼レフカメラに対して劣るとされていたミラーレス一眼の性能を確認してきました。今では光学ファインダーと電子ビューファインダーの性能差が縮まり、動く被写体を撮影するのも苦にならなくなっています。
そんな中、ミラーレス一眼ならではのアドバンテージも見えてきました。
まずは、被写体を確認しながら撮影できるメリットです。電子ビューファインダーで露出、色合いなどをチェックしつつ撮影ができます。これは、ミラーレス一眼のアドバンテージといえるでしょう。
光学ファインダーの場合、画像処理エンジンでデータ化された画像ではなく、生の光(映像)を見ています。そのため、露出がズレていたり、シャッター速度が合っていないといった事態に遭遇する場合があります。
一日に何度も通る車両であれば、再撮影も可能かもしれませんが、イベント列車などは目の前を通過するその瞬間しか、シャッターチャンスは無いことが当たり前。そんな時、ミラーレス一眼で画面を見て確認できるメリットは大きいでしょう。
また、ミラーが無いことで、連写撮影に強いモデルが多いことも、ミラーレス一眼のメリットでしょう。
例えば新幹線のように時速300km前後で目の前を駆け抜ける車両を撮影するなら、連写能力に余裕があると助かります。
さらに、イメージセンサーが大きくてもボディサイズをコンパクトに作りやすいミラーレス一眼は、機動性においても有利です。
時には、撮影のため長時間歩いたり、足元の悪い場所での撮影も、鉄道撮影にはあり得ます。そんな時、カメラが軽量であることは、撮影に集中するためにも心強いはずです。
ミラーレス一眼でお気に入りの鉄道を撮影しよう!
一眼レフカメラとミラーレス一眼の違いがわかったでしょうか? もちろん、一眼レフカメラの性能も進化していますし、ミラーレス一眼も進化しています。それぞれの特徴を踏まえ、楽しく鉄道を撮影してみてはいかがでしょうか?
お気に入りの鉄道を撮りたい! ミラーレス一眼をメーカー別にチェック
それでは、本気で鉄道を撮りたくなる、ミラーレス一眼の注目モデルをメーカー別にチェックしてみましょう。
キヤノン EOS R6 Mark Ⅱ
有効最大約2420万画素の35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載したモデルです。
電子シャッター時で最高約40コマ/秒を達成。ディープラーニング技術を活用した高精度なトラッキング機能 ・被写体検出AFに、「鉄道・飛行機」「馬」を加えました。
最大8段の効果を発揮するボディ内5軸手ぶれ補正も採用。フルサイズで高性能モデルでいながら、本体重量が約670g(バッテリー、SDカード含む)なのも魅力です。
ニコン Z6III
有効最大約2450万画素の35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載したモデルです。
ハイスピードフレームキャプチャー+(C120)時で、約120コマ/秒。高速連続撮影(拡張)時、電子シャッター時は約20コマ/秒を達成。
明るい環境下でも被写体を確実に確認できる4000cd/m2対応の電子ビューファインダー(EVF)は、576万ドットと高解像度。歪みや色収差を最小限に抑え、画面の隅々まで細かく鮮明に見ることが可能となりました。
ソニー α9Ⅲ
有効最大約2460万画素の35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載したモデルです。
AIプロセッシングユニットは、人物の骨格や姿勢などの詳細に基づく人物認識や、「動物」「昆虫」などに加え、「車/列車」の被写体認識に対応。「車/列車」では被写体全体または先頭部や頭部を認識し追尾してくれます。
また、最高約120コマ/秒の連続撮影をAFシステムが強力にサポートします。
富士フイルム X-H2S
有効最大約2616万画素のAPS-Cサイズ相当のCMOSセンサーを搭載したモデルです。
電子シャッター時に最大約40コマ/秒の撮影を実現。AI技術を用いて開発した被写体検出AF機能を搭載し、人物の顔や瞳に加え、「動物」「鳥」「車」「バイク&自転車」「飛行機」「電車」をカメラが検出し、自動的にAFを追尾します。
オリンパス OM-1 Mark Ⅱ
有効最大約2037万画素の4/3型 裏面照射積層型 Live MOS センサー搭載したモデルです。
AI被写体認識AFは、「人物」「車、オートバイ」「飛行機、ヘリコプター」「電車、汽車」「鳥/動物(犬、猫)」らを検出。
AF/AE固定で最高120コマ/秒、AF/AE追従でも50コマ/秒でのRAW連写撮影を実現します。