ホワイトハウスのバルコニーから独立記念日の花火を眺めながら、手を握るバイデン大統領とハリス副大統領=2024年7月4日(写真:AFP/アフロ)
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 11月の大統領選から撤退したバイデン米大統領。民主党の後任候補として、カマラ・ハリス副大統領を支持した。リベラル派の米市民たちはどう見たのか。AERA 2024年8月5日号より。

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「カマラにバトンが渡されてほっとした。大統領選のディベートでバイデンが言葉に詰まり、トランプに口撃されている姿は恥ずかしくて正視できなかった」。そう語るのは激戦地ミシガン州のカラマズー大学で化学を専攻するビー・パットマンだ。

中絶の権利が危ない

 21歳の彼女は「なぜ有罪評決を受けた老人と、短いセンテンスすら完結できない老人の2人が自分たちの未来を握っているのか」ともどかしい思いでディベート中継を見ていたが、ジョー・バイデンが7月21日に大統領選から撤退し、副大統領のカマラ・ハリスを候補として推薦したことで、トランプ打倒への希望が土壇場でつながったと感じた。「選挙まで日がないから楽観はしていない。トランプ再選が何より怖いのは、人工中絶する権利が全米で完全に違法にされてしまうかもしれないから。私や友人たち女性の身体にまつわる選択権を、トランプに絶対に剥奪されたくない」と語る。

 米最高裁が2年前に「中絶合憲」の判決を覆したことで、中絶の権利は州ごとに定められ、現段階で21州で中絶が基本的に違法となった。彼女が住むミシガン州では今も中絶は合法だが、トランプが副大統領候補に指名したオハイオ州選出の上院議員のJ.D.ヴァンスは「レイプによる妊娠の場合も、母体の生命に危険がある時を除き、中絶は違法にすべき」という意見だ。彼女はヴァンスに戦慄を覚えた。

 夏休みの間、故郷の北ミシガンでバーテンダーとして勤務しているパットマンは、店で飲んでいた中年男性客が、通りを歩いているトランプのロゴつきシャツを着た青年を見かけ「キミ! 気に入った。一杯おごらせてくれ!」と叫ぶのを聞いた。呼ばれて嬉しそうに店に入ってきた青年の顔を見ると、なんと高校の同級生だった。中年男性は2人分の代金を彼女に払い、彼女は彼らにビールを注ぎ、ふたりが楽しそうに飲み交わすのを見た。「トランプ支持者同士がこうやって日々親交を深め勢力を拡大している。家の庭やトラックの荷台にトランプの旗がはためくこの地域では、カマラが有能で弁が立ち、トランプを論破できても楽観できない」

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