7つのうち「2つ」は損害賠償請求できる可能性

 これまで2000杯を超えるラーメンを食べ歩き、「ラーメン弁護士」を自認する櫻井俊宏弁護士はこう話す。

「この問題は、裁判を起こして勝訴すれば良いという問題ではなく、むしろ迷惑行為を繰り返す客にどう対処するかという、クレーマー対応に近い話です。『迷惑客にどのように退店いただくか』ということを主眼に検討することが重要だと思われます」

 櫻井弁護士は、ラーメン店がかかげた項目のうち、1、2、3、6については賠償請求は困難との見方を示す。

「違反を繰り返す客には、録画や録音などの証拠を残しながら、まずは退店を言い渡すなどの対応をとるべき事案です。万が一、退店を言い渡した際に暴言や暴力行為があったり、強引に店に入るなど、営業がままならない事態に発展した場合は賠償請求の余地が出てきます。ただ、この場合はまず警察に通報するべきでしょう。5の大きな声についても、大きな声の定義があいまいなため、賠償請求は難しいと思います」

 7は賠償請求が可能だといい、4についても、もし近隣企業側に対し店が賠償する事態になった場合、自転車をとめた客に賠償を求めることができる可能性があるという。

 櫻井弁護士によると、裁判をする場合、弁護士費用が一般的には30万円以上はかかるうえに、前述のように、賠償が認められるケースも少ないと想定される。

 暴力行為で店員がけがをしたり、その影響で数日間営業ができなくなった、などのレベルの損害が発生しない限り、費用面ではメリットはないという。

「そうした状況を考えると、店側は抑止力を働かせるために強く告知しているだけの可能性があると思います。ただ、迷惑行為に対して毅然と対処するという前例を作るために、裁判に踏み切る可能性も否定はできません」

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