「例えば猛暑関連株でいえば、予想以上に暑くなったり暑い期間が長引いたりすると、すでに買われている銘柄でも改めて注目を浴びるケースがあります。また、そういった状況になれば、ほかの企業にも目が向けられ、より幅広い銘柄が物色されることもあります」
そうした意味で、まだ狙えそうな銘柄が上の表だ。岩本さんには、現時点で投資家の注目度や株価の水準があまり高くなく、猛暑の影響を織り込んでいないと思われる銘柄のうち、業績が比較的堅調で、かつ今後の成長も期待できる「プラスアルファの材料」があるところを選んでもらった。
その一つが、新潟市に拠点を置く老舗の冷菓大手セイヒョーだ。新潟県を中心に「もも太郎」ブランドのアイスで知られる。地元の知名度は抜群に高い。
「特に現社長の体制に変わってから経営は積極姿勢に転じました。大手メーカーの森永乳業のOEM(相手先ブランドによる生産)品を手がけたり、販路や生産能力の強化に取り組んだりするなど、業績は上昇基調です」(岩本さん)
KHネオケムは旧協和発酵発祥の中堅化学メーカーで、業務用の冷蔵庫やエアコンなど冷凍空調機のコンプレッサー(圧縮機)に使われる特殊な潤滑油の原料で世界トップだ。化粧品の原料や半導体向けの電子材料なども手がける。
「猛暑関連株ではエアコンメーカーを連想する投資家は多いものの、同社にまで目を向ける人は比較的少ないのでは」(同)
一方、藤ノ井さんは江崎グリコや日本色材工業研究所などを挙げる。このうち、日本色材工業研究所は口紅やマスカラといった大手化粧品メーカーなどのOEM品を手がけている。
「資生堂や花王など大手化粧品会社はコロナ禍の外出手控えとマスク着用による化粧品需要後退の影響から回復しつつあります。その中で、好天が続き外出が増えてメイク需要は好転しており、業績回復期待が高まっています」(藤ノ井さん)