
かつて朝の情報番組で人気を博した国際比較学者のアントン・ウイッキーさん。86歳の今が一番幸せだと話す。
【画像】90歳になっても「元気ハツラツ!」でいるために“キレるカラダ”筋トレ法がこちら
* * *
生放送で道行く人に突然英語で話しかける「ウイッキーさんのワンポイント英会話」で人気を博したアントン・ウイッキーさん。
平日朝の情報番組「ズームイン!!朝!」(日本テレビ系)の放送が始まった1979年から94年まで15年間続いた番組内の人気コーナーで、ほぼ休みなくウイッキーさんが担当した。
コーナー終了から30年近くになるが、ウイッキーさんは86歳になった今も目黒学園カルチャースクールなど首都圏で英会話の講師として活躍している。
「毎日どこかで英語を教えています。1日2、3時間くらい働いていますね」
少し前までは土日や祝日はレッスンを入れなかったが、カルチャースクールには週末に通う人も多いため、休みをなしにしたそうだ。
「英語を教えるのは問題ありませんが、体力的に移動が大変です。毎日どこかに移動していますからね」
そこでウイッキーさんは、あの町で何を食べようかなど、移動先での楽しみを見つけるようにしているという。そうすると移動も苦にならない。
それ以上に楽しみなのは、英会話教室で生徒と出会うことだ。
「生徒には有名なデザイナーや大企業の社長さん、スポーツ選手といろいろな仕事の人がいます。そういう人たちから私の知らないことを教えてもらえるのです」
ウイッキーさんは英語を教える上で心がけていることがある。それは英語+αのレッスンにすることだ。
「英語を教えるのは誰にだってできます。でも、それでは生徒が来てくれない。また来たい、ウイッキーさんに会いたいと思ってもらうようなクラスにしたい。どうすれば喜んでくれるかを毎日考えています。何をしようかと考えるのが楽しいですね」
英語を教えることが楽しいというウイッキーさんが今一番幸せを感じるものがある。
「それはワイフが作ってくれる夕食。最近になってゆっくり夕食を食べる時間ができるようになりました。昔は仕事で忙しすぎたからね。もし、昔からワイフの夕食を食べていたら、満足してもっと早くに死んでいたかもしれないね。今はもっと長く生きたいと思う。そういう気持ちにさせてくれたワイフ、生徒、そして日本に感謝、感謝です」
今は日本に対して生まれた国よりも「故郷」を感じていると感慨深げに話した。
そしてこう最後に話してくれた。
「今、人生の中で一番幸せなウイッキーです」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2023年4月14日号