八木ひとみさん(やぎ・ひとみ)/1985年生まれ。山口朝日放送アナウンサーなどを経てフリーに。BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」メインキャスター(写真:本人提供)
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 大学院などで学び直しをする社会人学生にとって、学びの時間を確保するのは容易ではない。どのように仕事と勉強を両立したのか。大学院で得たものは何か。早稲田大学ビジネススクールで学んだ経済キャスターの八木ひとみさんに聞いた。AERA 2024年7月8日号より。

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 BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」でメインキャスターを務めるなどテレビやラジオで活躍中の経済キャスター、八木ひとみさん。

 私生活では2022年7月に出産。21年度から早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)で学び、育児と仕事を両立させながらMBA(経営管理修士)を取得した。

「2年間、ずっとお祭りに行っていたみたいな感覚でした」

 八木さんは、社会人学生として過ごした濃密な時間をこう振り返った。共に学ぼうという熱い思いを持つ社会人が集まると、こんなに活気に満ちた空間やポジティブな関係性が生まれるのか。そんな発見の連続だったという。

「ビジネスの専門分野はみんなバラバラ。それぞれのバックグラウンドが違うからこそ、互いに異なる視座を提供し、高め合おうとするんです」

「意識の高い人たち」。そう言うと、使う場によっては否定的なニュアンスも含んでしまうが、大学院で出会った社会人コミュニティはまさにそういう人たちの集合体だった。誰かが夢や目標を語ると、必ず肯定的に受け止め、その実現に向けてどうアプローチすればいいのか意見を出し合う。八木さんがそこで得たのは「自己効力感」だったという。

「自分を肯定する力を持つ人はたくさんいると思いますが、自分はきっとできる、という自己効力感は大学院生活を経てすごく高まりました」

 大学院進学を思い立ったのは20年の年末。趣味が「居酒屋さん巡り」というほどの飲み会好き。それがコロナ禍で中断を余儀なくされ、夜の時間がぽっかり空いた。その時、先輩の経済キャスターたちから「この道でやっていこうと思うのであれば、しっかり学んだほうがいい」と勧められていた選択肢が不意に浮かんだという。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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