半世紀にわたりファンを魅了し続けるTHE ALFEE。『三島由紀夫論』などの著書多数の小説家・平野啓一郎さんにアルフィーの魅力を聞いた。AERA 2024年7月8日号より。
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アルフィーと最初に出会ったのは小学5年生のころです。「サファイアの瞳」がリリースされて、同日発売の「君が通り過ぎたあとに」と同時にチャートに入ったりしていて。1987年ぐらいですね。もともと8歳上の姉の影響で洋楽が好きでした。最初に買ったアルバムがマイケル・ジャクソンの「スリラー」。邦楽にはまったく興味がなかったんですが、アルフィーは曲がハードでカッコいいなと思いました。日本のアーティストとしては最初に好きになり、それからはレンタルレコード店でアナログレコードを借りて遡って聴き、エレキギターも弾くようになりました。
『ドリーム・ジェネレーション』(吉岡つとむ)というアルフィーの軌跡を追った漫画もあって、それもとても面白かった。70年代の日本の若者がレッド・ツェッペリンの来日公演に感動して音楽にのめり込んでいく。学生運動が盛んだった時代の雰囲気も感じることができました。「シュプレヒコール」とか「ロックアウト」とかいう言葉は、アルフィーの歌詞で知りました。最初に見たライブは中学1年生のとき。88年の夏、福岡での野外イベントでした。姉が誕生日プレゼントにチケットを買ってくれたんですよ。それで友だちと一緒に行ったんですが、初めて野外でエレキギターの音を聴いて、忘れられない興奮体験でした。
それぞれ個性的で自由
人生の中でときどき、アルフィーの熱心なファンと出会うことがあるんです。そういう方たちはすごく熱心に「自分がいかにアルフィーのファンであるか」を訴えかけてくるので、それを機にまた聴く、ということを繰り返していました。
そんな中、昨年高見沢俊彦さんのラジオ番組にゲストとして呼んでいただいたんです。高見沢さんが僕の本を読んでくださっていたのがきっかけで、非常に光栄でした。もともと三島由紀夫がお好きでご自分も小説を書かれていますし、文学の話なども弾みました。