見方を変えれば、これは新規ビジネスが「失敗しやすくなった」ことも意味します。すべてのビジネスがうまく進むはずはありませんし、著名な経営者でも、起業に失敗し、辛酸をなめる時代があった人はいるでしょう。ただAIの登場で、辛酸はずいぶんなめやすい味に変わるのだと思います。あれこれ試してみる機会がたくさんあってもいいわけです。
 

増えるベンチャー企業

 その兆候は若い世代ですでに見え始めています。経済産業省発表の「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査」によると、大学発ベンチャー数は前年度から477社増加し3782社となり、企業数、増加数ともに過去最高を記録しています。

 一方で、終身雇用を信じて疑わず、入った会社で、苦労して積み上げてきた経験やその結果としてのキャリア、肩書を半ば放棄するのは自己否定のように感じる人もいるでしょう。

 ただAI時代のあとでは、その自己否定を乗り越えられる人、あるいはそれが決して自己否定ではないことを知っている人が、それまでとはまったく違ったかたちでのチャンスをつかみやすいのです。

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川村秀憲

川村秀憲

かわむら・ひでのり/人工知能研究者、北海道大学大学院情報科学研究院教授、博士(工学)。ニューラルネットワーク、ディープラーニング、機械学習、ロボティクス等の研究と併行して、ベンチャー企業との連携も進めている。著書に『10年後のハローワーク』(アスコム)がある。

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