こういった社会の流れを、理不尽だと感じる人もいるでしょう。
 

現状を放棄して飛び出してみる

 確かに、社会全体の大きな変化を瞬時に感じ取ることは簡単ではありません。結果として、いつの間にか大きく変わっていた社会に驚かされ、置いてきぼりになったことにぼうぜんとする人も現れるでしょう。

 ただ私は、悲観的に考えるくらいなら、その場のチーズを放棄したネズミのように、変わりゆく社会の迷路に飛び出すことを勧めます。これは、差し当たって転職のさらなる一般化を促進することになるでしょう。

 AIは、最後まで残っていたホワイトカラーの知的労働を徹底的に効率化していきます。それによってゲームのルールが厳しくなることは避けられないのですが、私は一方で、迷路に向かって歩き始め、自分の価値を試そうとする人には、かえって恩恵があるのではないかと考えます。

 なぜなら、AIが活用できる世の中では、起業の負担がそれ以前よりも軽くなるからです。

 すでに、サーバーやその上で動くシステムなど、多くのリソースはクラウド化され、自ら作ったりする必要も、物理的なモノを買って置いておく必要もありません。世界中の企業がそうしたサービスを競っているので、価格もどんどんこなれていきます。

 少し規模の大きいビジネスを立ち上げようとするなら、いまだとそれなりに人手が必要です。優秀な人材のほうがいいことは言うまでもありませんし、最初は1人で始めたとしても、業容を大きくしていくならよい人材を採用し、育てていくことを並行して行わなければなりません。

 しかし、今後はAIがあります。

 自分自身の椅子を奪ったのはAIだったとしても、新しく自らのビジネスを始めるときには、AIを大いに活用することによって、効率的に、リスクを下げてスタートできるのです。

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