出口戦略とは…実際の生活に使える形にすること

 ということで、そもそも「出口戦略」とは何か?というところから始めます。

 出口戦略をひとことで言えば、投資で増やした資産をどう現金化するか です。別の言葉で言い換えれば、証券口座のなかにある資産をどうやって 実際の生活に使える形にするか……ということです。

 付け加えれば、一般的にはその先で、あなたの資産を(未来の)家族にどう引き継いでいくのか(あるいは、あえて引き継がないのか)という部 分も、出口戦略の一部だと考えます。

 現金やそれに準じるお金の形にしないと、私たちは朝食の塩クロワッサンも、昼食のうどんも、夕食のお米も買えません。電気料金・ガス料金・水道料金も払えません。もちろんネット代やスマホ代も払えません。

 お金の増やし方は多く語られますが、出口戦略については語られることが少ないのが現実です。私はそうした現状に警鐘を鳴らしたいと思っています。本当は、お金の増やし方よりも出口戦略のほうが大切! ……なのです。

写真はイメージです(Getty Images)

なぜ重要? 出口戦略の失敗は「貧乏老後」に直結する  

 出口戦略こそが重要である理由は、出口戦略を失敗すると、そこからのリカバリーが非常に難しいからです。高齢になってから資金が枯渇すると、自力で資産をつくり直すための時間がもう残っていません。投資に関する判断能力も衰えているので、新たに投資を行っての挽回も厳しくなります。

 再び労働に戻って大きな収入を得ることも困難です。仮に身体が動くと しても、求人は限られているので希望する職種にはなかなか就けません。高齢になってまで希望しない条件ではもう働きたくないでしょう。生活費 の足しくらいには働くことができても、もう一度、大きな資産形成をする ために余分に稼ぐ体力はなくなっています。場合によっては病気などで健 康状態も悪くなっているでしょう。

 老後はお金の不安とは無縁に、のんびり静かに余生を送りたいもの。そうした余生を実現するためには、出口戦略は「絶対に負けられない戦い」とならざるをえないのです。

 では、何をどうすればいいのか?出口戦略の具体策は次回に改めて説明したいと思います。

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桶井道(おけいどん)

桶井道(おけいどん)

桶井 道 (おけいどん) 個人投資家(投資歴20数年)・物書き。 1973年生まれ。会社員人生25年間「労働+節約+貯金+投資」の歯車を回し続けて、2020年47歳で資産1億円とともに早期退職した。それから3.5年で資産を1.8億円にまで成長させる。投資先は世界30か国の高配当株や増配株、ETF、REITなど幅広い。 現在は両親(父は難病で要介護5、母はがんサバイバー)の介護・見守りをしつつ、物書きとして第二の人生を満喫している。子ども食堂への支援も行う。 著書は『今日からFIRE! おけいどん式 40代でも遅くない退職準備&資産形成術』『月20万円の不労所得を手に入れる! おけいどん式 ほったらかし米国ETF入門』(ともに宝島社)、『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください』(すばる舎)など。連載は「アエラドット」「マネー現代」「プレジデントオンライン」。 ◆X(旧ツイッター) アカウント @okeydon ◆ブログ『おけいどんの適温生活と投資日記』 https://okeydon.hatenablog.com/ ◆著者による書籍 https://www.amazon.co.jp/stores/%E6%A1%B6%E4%BA%95-%E9%81%93/author/B08Y93HR3H?ref=ap_rdr&isDramIntegrated=true&shoppingPortalEnabled=true

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