ネットサーフィン、二度寝、遅刻、あがり症、ドカ食い......わかってはいるものの、やめられない習慣の数々。なぜやめることができないのか、その原因は、潜在意識に染み付いたプログラムにあるのだと、人材育成のプロである三浦将さんは書籍『自分を変える習慣力』のなかで述べています。
「人は、自分の思考や意識で行動していると思っています。そして、自分のやっていることを自分で選んでいる、決断していると信じ込んでいます。しかし、そのほとんどは、潜在意識の中にあるプログラムによってオートマチックに動かされているのです」(本書より)
しかし同時にそれは、潜在意識を有効に設計、味方につけることができれば、良い習慣を身につけられるということでもあります。
たとえば、2015年ラグビーワールドカップで大活躍をし、両手の人差し指を突き出す独特なポーズが話題となった五郎丸歩選手。その独特なポーズは"ルーティン"と呼ばれる、潜在意識を活用した習慣なのだそうです。
キックの精度を高めるために行われるこのルーティンは、五郎丸選手がキック前にしていた動きのクセを基につくられたもの。例のポーズのみならず、ボールを置いてから何歩下がり、どの時点でゴールを見るかなど、こと細かく手順が決まっていると言われています。こうした一定の動きをすることによって、潜在意識がキック時における最高の身体の動きを毎回再現。つまり五郎丸選手の活躍は、最高の身体の動きを再現するためのプログラムを潜在意識のなかに作り、それを活用した成功例なのだといいます。
こうした潜在意識を味方につけた良い習慣の定着のために、まず行うべきことは、最初にやる習慣を1つ決めることなのだそうです。その際、目標には否定語や禁止語を用いず、ポジティブな言葉を用いることが重要。"急いで食べないようにする"という目標ならば、"夕食を30分以上かけてゆっくり食べる"というように、否定語や禁止語は避け、ポジティブな言葉を選ぶようにしましょう。
さらに、"習慣化に取り組む時間を、豊かで素敵な時間にするには?"という視点を加えることで、より一層ポジティブに。先の目標ならば、"夕食を30分以上かけて楽しみ、感謝の気持ちとともにゆっくりと味わって食べる"といったように設定することで、実行したくなるモードにもっていくのだそうです。
1つの良い習慣が身につくと、脳の神経のパターンが変化、脳自体の構造が変わるため、他の行動パターンの書き換えも行われ、良い連鎖反応が次々に起こるとのこと。まずはスイッチとなる目標を1つ定め、本書を参考に習慣化してみてはいかがでしょうか。