タンザニアのセカンダリースクールの生徒たちと交流。タンザニア研修への希望者は、昨年は10人、今年は11人と年々増えている(写真:足立学園中学校・高等学校提供)
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 中学・高校でグローバル教育を実践する学校が増えている。足立学園中学校・高校では希望者を募り、アフリカへの研修旅行を実施している。どのような魅力があるのか。現場の声を聞いた。AERA 2024年7月1日号より。

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「アフリカに対して、かつて見た映像などから、見渡す限りの広大な砂漠やサバンナを闊歩する動物たち、そして貧困にあえぐ開発途上国というイメージを植え付けられていましたが、実際に訪れるとまったく違うことが分かったんです」

 国際協力機構(JICA)青年海外協力隊の現職教員特別参加制度を利用し、2017~19年に東南アジア・ラオスの教育施設に派遣された経験のある足立学園中学校・高校(東京都)の原匠教諭は、同じくアフリカに派遣された同期の隊員に会いにナミビアに行き、その現実に驚かされた。

「きらびやかな高層ビルにヨーロッパ風の街並み、きれいで洗練された私立学校もあった。その一方で、バラックが立ち並ぶエリアもある。その境界には貧困の壁ともいえるようなフェンスが引かれていたんです。私たちが思い浮かべるアフリカのイメージはほんの一部でしかないと気づかされました」

アフリカは世界の縮図

 この強烈な体験を生徒にも経験してほしいと、原さんはアフリカへの研修旅行を思い立った。治安や食の安全、病気の流行など、生徒が安心して渡航できる国を識者に助言ももらいながら精査。そして決定したのがタンザニアだった。

「2050年には世界人口の4分の1がアフリカ人で占められると言われています。大陸の面積は広大ながら、インフラが整っていなかったり、貧困や紛争が解決されていなかったり、環境破壊にエネルギー問題も抱えている。アフリカ大陸に現代社会のすべてが凝縮されている、まさに世界の縮図だと思うんです」

 タンザニアへの研修旅行は夏季休暇中に実施し、中学3年から高校2年を対象に希望者を募る。初年度は2022年度。海外研修の行き先と言えば欧米が一般的なので希望者は「おそらく2、3人だろう」と予想していたが、9人が参加した。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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