世界人口より多くなるロボット

 では、人型ロボットが急速に普及するとして、いったいどれくらいのロボットが必要になるのだろうか。

 EV、スペースXなどで世界をリードする米テスラ社は、同社の人型ロボット「Optimus」に最先端AIを搭載して100億台生産すると発表している。世界の人口80億人より大きな数だ。

 生成AIブームの火付け役のOpenAI社も24年3月に1000億円を調達したFigure社を含めて3社に投資するのと同時に自社でもロボット開発を再開した。ロボットが次の主戦場になると見直したのだ。

 中国も2025年までに「上級レベル」の人型ロボットを大量生産する計画だ。中国政府は、人型ロボットが、スマートフォンと同様に「破壊的」なものになるとしている。

 紹介した動画を全部見ていただくと、米中に比べて、どれだけ日本のロボットが遅れているかがわかる。さらに、中国企業が、最先端を走る米国企業と十分に競り合えるレベルに達していることに驚く方も多いだろう。

 ここで、気になるのが、人型ロボット革命のためにどれだけの計算リソースが必要になるのかということだ。

 前述の経産省のレポート8ページによれば、学習を1日で終わらせるのに必要な計算リソースは、通常の画像・映像認識ができるようになるためには10P(ペタ)~10E(エクサ)、自動運転の機能を得るための学習には1E、ロボットには1〜100Eが必要となるとされる。現状に比べて気が遠くなるような規模の計算リソースが必要だということになる。(キロが10の3乗、その上がメガ、ギガ、テラ。このあたりまでは日常用語になったが、ペタは10の15乗、エクサは10の18乗のことだ)

 計算リソースを確保することは、言い換えれば、最先端の生成AI用のデータセンターを確保するということになる。

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圧倒的に負ける日本の生成AI事業