授業が1コマ空いた時は、中央図書館の地下にこもって過ごしました。図書館は一人でいても浮かないので落ち着きましたね。自動書架のスイッチをカチャカチャ押して、書棚を動かすのがすごく楽しくて。それをずっとやってましたね。それを押すことで、私は早稲田のものを動かしているんだ、早稲田に通っているんだという実感を得ていました……。

――4年間、友達は誰もできなかったのでしょうか。

 一人もいなかったですね。授業もずっと一人。一応、授業を取ってる期間だけしゃべる程度の子はいたんですけど、その場限りで。

 芸人になった後に、友達がいなかった早大OB同士で対談する企画があったんですけど、対談相手が「友達がいないから『マイルストーン』という雑誌から授業情報を得ていました」と言っていた。早稲田生なら誰でも知っている雑誌らしいんですけど、私はそれすら知らなくて……。「え、マイルストーン知らないんですか」って、友達がいなかった子にも驚かれるくらい。それで、本物の孤独だったんだなと実感しました。

――図書館以外で、楽しみは見つけられましたか。

 徒歩10分ほどある戸山キャンパスから早稲田キャンパスの間を移動するときに、最短ルートを模索していた時期がありました。それで、めちゃくちゃ良いルートを見つけたんです。人通りも少なくて裏道っぽいところで。誰かにおすすめしたかったけど、友達がいなかったので私だけの道みたいにしていました。

――早稲田はキャンパスも賑わっていますが、一人でいることに孤独は感じていましたか。

 寂しいっていう気持ちはありました。皆でわいわいしている中に入りたいなという気持ちはずっとあったんですけど、自分からチャンスを逃してしまった。1年生の時に、上級生からサークルや新勧コンパのお誘いで声をかけられたこともあったんですけど、なんか怖くて……。自分が行って大丈夫なのか、騙されるんじゃないかと思って、勝手に壁を作って飛び込めずにいました。高校の時のようなクラスがないですし、そのままずるずると1年2年が過ぎていって。3年になる頃には、友達を作るのはもう無理なんだなと諦めながら過ごしていました。

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「鬱屈した気持ちがガスのように溜まって」