連載タイトルは「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。覚えている人はもう少ないかもしれないけど、この連載、開始当初は「恋の話」限定だった。それが、いつのまにか「テーマは何でもあり」の連載へと変わった。ある日、突然、連載の担当者から「『恋の話』しばりはもうやめましょうか」と告げられ、いきなりの方針転換。おそらく「恋の話」ではあまり読まれなかったのかもしれない(笑)。少し戸惑いはしたけど、それが功を奏したのか、それ以降は、ありがたいことに何度かヤフートップにもあげてもらえたし、結果的にはよかったなとは思っている。

 自分の思いをこういう連載というかたちで定期的に世の中に発信するのは初めての経験だったけど、意外と「おもしろい」と感じた瞬間も多かった。ボクは、常日頃SNSなどで自分が感じたことをつぶやいてはいるけど、その感覚とは全然違うんだよね。SNSは瞬間的に感じたことをつぶやくけど、連載は「じっくり考える」ことが基本だった。

 また連載が始まるまでは、あるテーマに対して「じっくりと定期的に考える」ことってボクの場合は意外と少なかった。仮に、バラエティー番組などでそういう場面があったとしても、やっぱり芸人という仕事上、少しふざけちゃったり、オチをつけようとしちゃったりすることが多くなるからね。それが芸人の役割だとも思っているし。でも、この連載では、そんな芸人という肩書をあまり意識せずに、いろんなテーマに向き合うことができた。

 ただ、「芸人がこんなパーソナルな部分を発信して良いのだろうか」と葛藤したことも実は何度もある。担当者からお願いされたテーマもあるんだけど、正直、「答えにくいな」と戸惑ったことだって少なくない。

 しかし、そういう答えにくいテーマに、いざ真剣に向き合ってみると、自分の中で新たな引き出しが生まれ、おもしろい発想につながったり、改めて自分の指標みたいなことを再確認できたりもして、芸人としても一人の人間としても、結果的には成長できたんじゃないかと今では感じている。

 連載を読んでくれた人たちの反応からも「真面目な意見をいうボクを受けていれてくれる人がこんなにたくさんいるんだ」ということも初めて気付けた。変な話ではあるけど、ボクという特殊なキャラクターでも「真面目なことを発信しても良い」ということを学べたのは、とても大きかった。

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