国内外でタンゴの演奏を続けている廣津留さん(撮影/吉松伸太郎)

 クラシックに限らずいろんなジャンルの音楽をやっていきたいという思いと、タンゴの曲調、それと演奏者との相性が自分に合っているなという感覚もあって、自身の活動として国内外でタンゴの演奏を続けています。タンゴといえば哀愁漂う雰囲気があり、演歌みたいにドラマチックだったりする曲が目立ちますが、そうかと思えば踊りのリズムに合わせて風を切るようなカッコいい曲もたくさんあります。その振れ幅もいいんですよね。それに海外で出会うタンゴミュージシャンは私の知っている限り、すごく明るい人が多い。細かいことをあまり気にしないというか……、とにかく仕事がしやすいんです。リハーサル中も本当に10秒に1回は冗談を言っているような感じで、笑いが絶えない。彼らと一緒に演奏するのが好きなんですよね。

 日本ではタンゴ奏者はまだ少ないですが、私のライフワークとしてタンゴの演奏会は続けていきたいと思っています。今年の6月にも東京・高円寺でタンゴ五重奏の公演を行うので、興味が湧いた方はぜひ生演奏を聴きにいらしてくださいね。

Q. 昨年はアルゼンチンで現地の音楽家とタンゴのCD 「Psicoporteño」をレコーディングされた廣津留さん。現地での演奏はどんな雰囲気なのでしょうか。また、タンゴ初心者におすすめの楽しみ方などあれば教えてください。

A. 本場アルゼンチンのタンゴは、やっぱりキレが違います! 土地の空気になじんでいるんですよね。アルゼンチンは夜を楽しむ時間が長くて、夜の9時ぐらいに夕食をとり、ショーを見に行ったりバーに飲みに行ったりするのが日常。お店でもタンゴに限らずフラメンコギターやフォルクローレ歌手などあらゆる生演奏があって、お客さんもノリがいい。「何か歌える曲ある?」ってマイクを急に向けられても当たり前のように歌い出すんです。私も現地でショーやバーをハシゴして楽しんでいたら、すっかり時間を忘れてしまって。日が昇るんじゃないかという時間になってしまったところで、みんなから“Welcome to Argentina”って言われました(笑)。

 初心者の方は、やはりピアソラから聴くのがおすすめです。クラシックのコンサートでも演奏されることが多いので、クラシックを聴いたことがある人だったら特に入りやすい。ピアソラ自身がバンドネオン奏者でもあったので、本人がレコーディングしたCDも出ていて、かっこいいですよ。でもピアソラにとどまらず、そこからもっとコアなものも聴いてみていただきたいです。また、私はあまり詳しくないのですが、映画でハマる人もいると聞きます。映画が好きな方は、タンゴ映画を探して見てみるのもいいのではないでしょうか。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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廣津留さんに聞いてみたいことを大募集!