バブル時代の「ホステス役」で話題に
――元№1ホステスを演じた「お水の花道」も印象深い作品です。プライベートではバブルの時代を体感しましたか?
あのドラマはコメディーだったので、現場で楽しんでいましたね。バブルのときはタクシー券がボンボン出たり、プロデューサーが高級な飲食店に連れて行ってくれたり、海外のロケに連れて行ってもらうこともありましたね。ブランドのバッグも買ったりしたけど、生活自体はそんなに派手じゃありませんでした。仕事が忙しくて家と現場を往復する毎日でしたね。
――90年代以降はドラマ、映画の主演が途絶えることなく続いていました。多忙ななかでどのようなことを考えていたのでしょうか。
人間ってあまりに忙しいと、あまり記憶に残らなくなるんです。この仕事は大好きですが、ひっきりなしにいろいろな役を演じていると、「自分」がなくなってしまう怖さがあって。30代前半に「自分の心が置き去りになっている」と気づいたとき、本当の自分は何を求めているのかを知らなければいけないと思いました。そのとき、私は将来的に結婚もしたいし、子どもも欲しいんだと改めて強く感じました。40歳で息子が生まれて、幸せのあり方を考えたとき、大分移住を決めました。
――財前さんの大分での暮らしぶりがテレビや新聞などメディアで取り上げられ、若々しい姿が話題になっています。
年相応にそれぞれすてきな味わいが出てくると思うんです。私は農作業をしているときは化粧をしていません。周りは誰もしていないですし、化粧をしているほうが不自然ですから(笑)。素の自分を愛してあげるのが一番大事だと思います。過去を振り返ってばかりだと、「ああすればよかった、こうすればよかった」と後悔して老けていくと思うんです。今を見つめて愛しているときが一番輝いている。これからやりたいことに目を向けたほうが幸せじゃないですか。