東京・飯田橋にある東京都消費生活総合センター=米倉昭仁撮影

 ただし、水まわり修理であれば「高圧洗浄機」、ロードサービスであれば「レッカー車」が必要だ。こうした高額な装備は組織的に請け負っている事業者が所有。個人事業者などが共用し、高額な請求金額で作業を行っていると、高村さんは推測する。

「ロードサービスの広告主と、現場にやって来る事業者は別なんです。トラブルを起こす事業者の多くは店舗を持たない『流しのロードサービス』です」

 レッカー車は事業者の拠点とは全く別の場所に置かれている可能性がある。そのため、請求書に書かれた所在地が現場と近くても数十キロぶんの「レッカー車出動費」が請求されることも珍しくない。もちろん、その金額そのものが架空請求の可能性もあるという。

 トラブルになった際、地元の消費生活センターに相談すれば、解決の糸口を助言してくれる。だが、業者が返金に応じてくれるかは「一概に言えない」という。

JAFは非会員のトラブルにも対応

 では、どうすればトラブルを避けられるのか。

 車を運転すれば「自分のミスでなくてもトラブルが発生する可能性があることを認識しておくことが大切だ」と、高村さんはいう。

「その際、どこに連絡したらよいかを知っておく。ほとんどのドライバーは任意保険に加入しています。事故や車のトラブルの際に連絡するフリーダイヤルがあるので、その電話番号を携帯するか、車内の取り出しやすい場所に置いておくことです」

 実はJAFは非会員の車のトラブルにも有料で対応している。バッテリー上がりは2万1700円、パンクは2万5630円。悪質なロードサービスよりもずっと安く、何より安心だ。

 記者は、この記事に書いたすべての車のトラブルを経験した。気が動転してしまい、保険会社に電話することがすぐに思い浮かばなかったこともある。だからこそ、「とにかく、慌てすぎないことが一番大切です」という高村さんの言葉が身に染みた。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)