トラブルにあった当事者の多くは若者で、20代が約36%、30代が約23%と、20~30代で半数以上を占める。平均被害額は約8万8000円だ。(13年度~23年度5月)
東京都消費生活総合センター相談課長の高村淳子さんによると、悪質なロードサービスは「日常のトラブルを安価で解決する」と宣伝しながら、実際は高額の代金を請求する「レスキュー商法」の一つだという。
レスキュー商法「水まわり修理」との類似点
高村さんは、典型的なレスキュー商法の「水まわり修理」との類似点を指摘する。
4年前、コロナ禍で自宅でのリモートワークが増えたころから、トイレの不具合で呼んだ業者に高額な修理費用を請求されたという相談が激増。全国の消費生活センターは注意喚起を行った。水まわり修理の被害が減り始めた2年ほど前から入れ替わるように急増したのが、「格安」を強調するロードサービスだという。
「緊急事態に直面してパニック状態になった消費者の心理を巧みに使って顧客を募る手口は両者全く一緒です」と、高村さんは言う。
車のトラブルの場合、ドライバーが加入している自動車保険の付帯サービスを使えば、さまざまなロードサービスが無料で受けられる。
だが、困りごとに対してスマホで解決方法を調べる習慣が身についていると、車のトラブルが起こった場合もそうしてしまう。気が動転していて、自動車保険やJAFが思い浮かばない。その傾向が若者ほど顕著のようだ。
JAFだと思ったのに、JAFじゃなかった
悪質業者は、「タイヤ パンク」などのワードで検索すると、上位に表示される「リスティング広告」と呼ばれる手法を駆使している。実際、車のトラブルで「JAF」を検索すると、JAFではない業者が表示されることがある。JAFだと思って依頼したところ、高額の料金を請求された、という苦情がJAFに寄せられている。
水まわり修理と同様、ロードサービスも特別な資格なしに事業を始められることも似ているという。