地下からメタンガスが漏れ出し爆発事故も
大阪府の幹部によると、海外パビリオンの中には、建設が間に合わないため「撤退」や「見直し」をする国もありそうだという。この幹部が不安そうに話す。
「数カ国は撤退するようです。撤退した後の空き地は地面むき出しじゃかっこ悪いし、雨が降ればご指摘のような池か水たまりになる。芝生にするという案がありますが、ごみの埋立地でうまくいくのか」
万博会場の夢洲(ゆめしま)は、もともとごみの埋め立て地だ。一般・産業廃棄物や建設残土、焼却灰などで埋め立てた上に5、6mほど砂や土をかぶせた場所が万博会場予定地となり、大屋根「リング」やパビリオン建設が進んでいる。
3月19日、万博会場のトイレ内の溶接作業中、爆発事故が起きた。
現場近くにいた作業員は、
「ドーンとすごい音がして、いったい何事かと騒ぎになった。実際に現場にいた作業員も必死で逃げていた」
と振り返る。この事故でけが人はいなかったが、事故があった工区の工事は3日間ストップした。
日本国際博覧会協会(万博協会)が発表した資料にはこう書かれている。
「土壌から発生した埋立ガスが、配管ピット内に入り滞留し、ガス濃度が高くなっていた」
配管ピットとは工事エリアの床下に配管を通すための空間で、そこに溜まっていたガスが地上に漏れ出し、溶接工事の「火花が引火したことが、ガス爆発の直接的な原因と推測される」という。ガスは可燃性のメタンだという。
そして、今後の対策としては、
「埋立ガス滞留のおそれがある箇所でのガス濃度測定を徹底」
「自然換気を常時実施する」
などと書かれている。つまり、可燃性ガスの発生は止められないのだ。
大阪市の幹部は、こう話す。
「埋め立てた廃棄物などから出たメタンガスが地中にたまるので、ガスを抜くために79本の管を入れていた。万博会場ではガスを100%抜け切ることができなかったのだろうか」