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年をとって死を意識すると、出家をする人が多かった。実際に寺で生活するパターンと、寺には入らずに家族と普通の生活を続けるパターンがあった。
貴族の女性の場合、「出家をする」ことは結婚していたり恋人だったりする男性との関係を一切断ち切るという意思表示でもあった。『源氏物語』で藤壺が出家を決意したのも、光源氏との関係を終わらせるため。老いや病気、親しい人が亡くなったことをきっかけに出家する人もいた。
臨終のときが近づくと信仰にすがった。銅像や絵の阿弥陀如来(仏さま)の手と自分の手を、青、黄、赤、白、黒の5色の紐でつなぐ人もいた。こうすることで、極楽浄土に生まれ変われるといわれていた。死ぬ人も看取る人も、「死ぬことは終わりではなく、来世に行くこと」と信じていた。
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現世で悪さをしていた人は、死後、その報いを受けて地獄に落ちるとされていた。地獄は、8つの階層に分かれていて、それぞれ門があり、罪の重さによって行き先が分かれるとされた。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂/イラスト こかぶ)
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