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 もし、実践できていないなら、今日からでも始めよう。退職を決意したときには早めに伝え、余裕をもって引継ぎができるように段取って、後を引継ぐ人が困らないようにしたい。

 送り出す会社の側の心構えや作法も見ていこう。

 退職する社員の側に言い出しにくい気持ちがあるように、送り出す側にも立ち入ったことを聞きづらい心理が働く。とはいえ、その後も良好な人間関係を保つことができれば、双方にとって大きなメリットとなる可能性もある。

 そこに着目して退職者(アルムナイ=同窓生を意味する英語)をネットワーク化し、継続的にプラスの関係を構築しようとする企業も現れはじめている。こうした動きは、在籍中の社員にとっても、一人一人のキャリアを会社が認めてくれていると実感でき、会社との信頼関係構築につながっていく。

 もしあなたが「上司」なら、辞めたいという部下の退職意思を尊重し、退職理由に理解を示したうえで、退職者の話を丁寧に聞き、不満を受け止める、質問にも答えるなど、退職者の想いを引き出してほしい。さらに、将来戻ってくる可能性を視野に入れて「歓迎の意思」を伝えることができれば、退職者は会社に対して母校愛的な「アルムナイ意識」をもつ傾向にあるという。

 そもそも退職者は会社にとって、業務に精通し社内事情も把握する即戦力。業務委託、協業など多様な働き方を通じて、再び貢献してもらえる可能性がある。一方、退職者がSNSなどで元の職場についてのネガティブな発信をすると大きなダメージになりかねない。退職者とよい関係を保つことで、そのリスクも軽減できる。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂 森 香織)

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